【episodes2】予期せぬ鼓動


「ママ、お腹痛い。病院に連れて行って。」


娘からSOSが届いたのは、ある年のゴールデンウィークが過ぎた晴れた日のことだった。



自宅で仕事をしていた私は、車を飛ばし娘の指定した場所に向かう。



落ち着け。落ち着け私。



心臓の鼓動が早くなるのを何度も抑制しながらハンドルを握る。



道路に佇む娘の顔色は青く、苦痛に歪んでいた。


我慢強い娘がお腹を押さえ前屈みになっている。


よほど辛いのだと安易に想像がつく。



「ママ、お仕事中なのにごめんね。」


「大丈夫。早く乗って。」


娘はシートに体を沈めると再びお腹を押さえ眉間に皺を寄せた。

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