第116話 わし 狂った歯車を回す

  

  〜〜〜レガシィ大帝国 帝都〜〜〜



ジホン・ロン「帝都で新型ペストが流行ってるとは本当か?」


ゴクフ大臣「はい…重い風邪の様な症状ですね、喜劇役者のケン・ジキムラや人気舞台女優のクミ・オーエンが亡くなったとの情報がはいりました」


ジホン・ロン「ん?…納得がいかんな…そんなに流行してないのに、バタバタ死ぬか?名のある人物の存在確率は低いだろう」


ゴクフ「そ…そうですね」


ジホン・ロン「致死率が高いのか?」


ゴクフ「まだ、はっきりとは分かりませんが、そこまで高く無いかも知れません」


ジホン・ロン「なら不自然だ1/50000の確率で名のある人物がいたとして、こんな最初期に2名も死ぬか?10万人死んだのなら理解も出来るが」


ゴクフ「確かに不自然ですね、しかし帝都民は国民的人気の役者が死んで戦々恐々としてます」


ジホン・ロン「3年前にウゴン王国でペストが流行した際にマルクス王国の薬が効いたと報告があったがどうだ?」


ゴクフ「マルクス王国は薬の輸出を快諾してくれました、検査薬も無料配布してくれる模様」


ジホン・ロン「マルクス王国包囲網のタイミングに確率的に不自然な死…それに薬の存在を意図的に隠してたとすれば、マルクス王国が仕掛けたと考えれるが…」


ゴクフ「いかがしますか?」


ジホン・ロン「症状の疑わしい人間は過疎地に隔離しろ!!逆らう奴は殺せ」


ゴクフ「分かりました、あとユリの根が新型ペストに効くとの事で高騰してます、特に無窮の皇帝と言うユリが家一軒買えるほどの大高騰です」


ジホン・ロン「それもマルクス王国からの輸入品だろう」


ゴクフ「その通りでございます」


ドン!!


ジホン・ロン「確信したわ!!マルクス王国が仕掛けた罠だ!!」


ゴクフ「どうなさいますか?」


ジホン・ロン「症状がある奴をマルクス王国に殺到させてやる!!」


ゴクフ「きっと皆殺しにされますし、民が蜂起しますぞ」


ジホン・ロン「ぐっ…おのれ…厄介な罠だな!忌々しい小僧だ!!」



   〜〜〜聖カトレイア国〜〜〜



デモクリト枢機卿「聖都で新型ペストが流行ってると聞いたが?」


カスケード財務卿「はい…もう1000人近い民が似た様な病状を訴えております」


デモクリト「これからマルクス王国に一泡吹かすと言う時に」


カスケード「しかし、新型ペストと言っても死亡率はそこまで高く無いですね」


デモクリト「しかし我が国の有名な役者が死んだと聞いたぞ」


カスケード「そうですね、今のところ高齢者の死亡率が高いです」


デモクリト「そんなの当たり前だろう」


カスケード「どうしますか?過去の事例では隔離するしか無いですが、あとユリの根が効くと言う噂もありますが」


デモクリト「噂の無窮の皇帝か…あんなの迷信だ!!」


カスケード「しかし民は競ってユリを買い漁って大高騰してます、マルクス王国からの輸入を再開をしろと、一部の民は暴徒化してます」


デモクリト「この世は、あの悪童の思い通りか!!」


カスケード「そ…その悪童から手紙がきてます、くすりあるよーーん、うごんおうこくのペストをなおしたじっせきあるよーーーん、でもね、きんゆしてるからゆしゅつできなーーい、ぷげらwww…との事です」


デモクリト「ふ…ふざけおって!!!」


カスケード「しかし…このままではパニックになりますよ」


デモクリト「高官を集めろ!!会議を開く」


カスケード「それが…高官達はこぞってマルクス王国に出国しております」


デモクリト「な?…一体何が起こってるんだ!」



 〜〜〜マルクス王国 わし私室〜〜〜



わし「ガハハハハハ!!アホ共を騙すのは容易いのう!!ほれ…聖カトレイア国から禁輸解除の通告が来たわ、新たな罠が仕掛けられてるとも知らずにな」


アリア「良かったですね、戦争も回避出来そうですね」


わし「このまま順調に行けばな、しかし、病気が無くても恐怖を煽るだけで良かったかもな、人は果てしなく恐怖に弱い」


アリア「でも逆に同じ事を仕掛けられたらどうするんですか?」


わし「わしならまず、年齢別の死亡率を見るな、気管支系の感染症は乳幼児と高齢者が死ぬ、大した事ない死亡率ならそのままじゃ」


アリア「そうなんですか?」


わし「そりゃそうじゃ、しかし国民はアホだから統制する様にマスコミを使ってただの風邪とか流すかな、権威ある人間に金握らして台本通りに喋らして終わりじゃ」


アリア「国民はパニックになりますもんね」


わし「隔離策とか都市封鎖とかだと経済死する人間が増えるしな、もちろん金をばら撒けば問題無いが、カスみたいな死亡率なら、それこそ無視で良い」


アリア「死亡確率が高い場合はどうするんですか」


わし「あきらめる」


アリア「はや!!諦めるんですか?」


わし「今は人の往来が多いからな、あきらめて免疫を高める為に、栄養のある食事をして寝る、3年もすれば集団免疫が出来るしな」


アリア「しゅうだんめんえきですか?」


わし「病気にかかって治ると、同じ病気に罹りにくくなったり、すぐ治ったりする、それが集団の7割り近くになると、病気の流行が収まるのじゃ」


アリア「人間って凄いですね」


人類史は感染症との戦いでもある、人間にはそもそも完璧に近い免疫機能がある、毒性の高いウィルスや菌を克服した人間が次世代を産む


しかし…それだとウィルスや菌が絶滅してしまうのでウィルスも進化と言う変異をする、インフルエンザは毎年変異してるから毎年流行するのだ


わしの見解だが、ウィルスは生物では無いとされてるが、ウィルスは生物として必要の無い物を排除して行く進化をして、生物は必要な物を獲得して行く進化をしたと思ってる


天然痘やメガウィルス網は元を辿れば我々と同じ真核生物だしな


わし「よしマスコミを使って国外には、新型ペストは危険!!治っても後遺症に悩まされるとかガンガン恐怖を煽るか」


アリア「こ…後遺症ですか!!」


わし「鬱、倦怠感、頭痛、めまい、不眠、食欲不振などがあるな」


アリア「こ…こわ!!」


わし「アホか…普段でもあるだろう、思い込みだ、人間は原因が分からない場合は原因を追求しようとするからな」


アリア「確かに…」


わし「しかし…凄まじく儲かるな…ちょっと引くレベルじゃ、薬の数も絞るか…ガハハハハハハハハハハ!!」


アリア「完全に悪魔の様な目になってますよ」


わし「あ…安全保障じゃ安保じゃ安保」


アリア「へ…へぇ〜」



次回に続く…

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