第88話 わし 第二次産業革命に着手する
〜〜〜わし私室〜〜〜
ジリリリリリン!!ジリリリリリン!!
ガチャ
わし「こちら捜査一課」
経産局貿易管理部「え?…えっと…」
わし「すまん…一度やってみたかった、どうした?」
貿易管理部「聖カトレイア国が全面禁輸に踏み切りました、如何しましょうか?現場は混乱してます」
わし「うーーーーーーん…また折り返す」
貿易管理部「分かりました」
ガチャ
わし「タイミング悪いな」
カシム「どうしました?」
わし「聖カトレイア国が全面禁輸にしやがった」
カシム「ああ…タイミング悪いですね…ラコール民主主義社会主義国との問題がありますし」
わし「外交の基本だが格下に舐められたらダメだ、恫喝して譲歩させるか、相手が絶対守りたい物を脅かして譲歩させるだな」
カシム「例えば?」
わし「聖カトレイア国なら女王だ、同時に国教の教皇だからな、全国民の精神的支柱なので絶対守りたい存在だ、それを脅かせば全面降伏もあり得るな」
カシム「確かに…しかし…どうしましょうか?カザハヤ海軍大将もアリー海軍軍師も不在ですし」
わし「今は事は大きくしない方が良い…計画通りゲオルグを派遣して乱暴狼藉をさせよう」
カシム「海軍はどうしましょう、指揮を取れる将が居ませんよ?」
わし「賭けだが、親父しかいない…」
カシム「マルクスⅨ世王ですか」
わし「海戦の実績もあるしな、めちゃくちゃ不安しか無いが、ラコール国軍は陸路で来るだろうし、万が一海戦になれば、ちゃんと国際法に則った海戦をする様にキツく命令しとく」
カシム「キュリア様もですか?」
わし「もうセットで良いだろ、説得するのが面倒だわ、キュリアは大尉とかにしとけ」
カシム「な…投げやりですね…」
スッ…
わし「あの馬鹿親子に、この本でも読ませておけ」
カシム「何ですかコレは?え…と機動戦士…マンダム…?」
わし「古い文献で流行った小説をわしが改編した戦記物だ、国際法とか海戦とかバカでも分かる様に書いてる、いちおう赤い軍服とヘルメットを用意しておけ」
カシム「わ…分かりました」
コンコン
ジアンビ「ジアンビです」
わし「入れ」
ジアンビ「最新兵器の重機関銃と秘密兵器の甲乙丙の甲種は概ね完成しました」
わし「んじゃ重機関銃と甲種はパドロ駅都市の100キロ地点に順次配備して行ってくれ」
ジアンビ「ははっ!!乙種と丙種はまだまだですね…。」
わし「まぁ流石のエッジ様も厳しいか…」
ジアンビ「その様です、現在のベッセマー転炉をさらに改良しないと…とか言ってました」
わし「分かった、とりあえずはヤマト国から鉄鉱石の輸入量を増やす…」
ベッセマー転炉の次はトーマス転炉か… 我が国はリン鉱石が多く産出するからな
※リンを含む鋼は割れやすくて使い物にならない
リンを除去する為には塩基性耐火煉瓦を開発しないといけないのだが、まだ技術的に少し難しいか…
わし「カシムよ我が国の経済状況はどうじゃ?」
カシム「インフレは少し落ち着いてきましたね、依然として経済は絶好調です、絶好調だからインフレが落ち着かないんですが…」
わし「では民間にもライン生産方式を採用していこう」
カシム「らいん?生産方式ですか?」
ジアンビ「最近、弾薬の製造をライン生産方式にしましたね」
わし「そうじゃ、メガネの分業があっただろう、あれを1つの工場でベルトコンベアを使ってライン上にして作って行くのじゃ」
カシム「生産効率が高そうですね」
わし「うむ…素人でも数時間の訓練を行えば作業に従事出来るし、均一の工業製品を安価に大量生産するのに適した製造工程だ、作業員の熟練度に合わせてベルトコンベアのスピードを上げてゆけば生産性はさらに高まるしな」
カシム「凄く効率は良さそうですが、凄く飽きそうですね」
ジアンビ「弾薬工場では離職率は高いし労働意欲も低いですね」
わし「その通り!!」(笑)
実際に流れ作業を始めた当初から、単純労働による労働者の労働意欲の低下や離職率の高さはすさまじく、賃上げや作業工程の見直しなどが相次いだからな、喜劇王チャップリンの映画『モダン・タイムス』で痛烈に皮肉られてるし(笑)
カシム「その通りなんですね…解決方法はあるんですか?」
わし「無い!!」
カシム「無いんですか」(笑)
わし「いや…あるのはある、対処療法だが、まずは正社員では無くライン作業は高額時給でパートやアルバイトを多く採用する、素人でも出来るのが強みだしな、あと1工程のライン作業をある程度やらせたら2工程目に移動させるとか、2〜3年で正社員として雇うとか、目的目標を作るとかじゃな」
カシム「まぁ…そうなりますね」
わし「後は海外では良く採用してるが、家族に誕生日プレゼントを送るとかじゃ」
カシム「本人では無くてですか?」
わし「もう金じゃ無いからな…社会実験でも結果が出てる、家族が良い職場と認識させる方が重要じゃな」
カシム「家族が最後の砦ですか」(笑)
実際の実験で時給3000円で右の本棚から左の本棚に本を移して行く実験があった、みんな最初は嬉々として始めるが
本を移し終わった後に、教授が、すまんすまん、やっぱり本を元に戻してと言われ、また左から右に戻す、戻し終えたら、また教授にやっぱり左の本棚だったわ(笑)と言われ、これを繰り返される
大体の人間は2〜3往復で辞める、高額な給与でも生産性の無い事を嫌うのが人間だ、機械にはなれない
わし「究極を言えば、人間関係が良く、労働環境も良く家族も応援してたら、辞める理由が無くなる、後は自分と単純作業との闘いだ」
カシム「社会の闇を感じますね」
わし「供給が足りなくて争い奪い合うよりマシじゃ、単純作業は機械化を進める、それに来年から奴隷制は完全廃止になるしな、奴隷達の働く受け皿も用意しておかないとダメだ」
カシム「来年は20万人ほどの奴隷が解放されますしね」
わし「なるべく奴隷と平民との格差を縮める為に毎日2000マルクス支給予定がウゴン王国の内乱で頓挫したしな」
カシム「好景気で労働者不足とは言え20万人もの新規労働者を賄えますかね?」
わし「その為に準備するのよ、ライン生産方式を採用する工場には3年無税と助成金も出すと投資家に通達するのじゃ」
カシム「工場がさらに増えそうですね」
わし「バイトやパートの賃金を上げる為にライン生産に従事する労働者には4時間以上働けば毎月、特別労働給付金も国から出す、会社に渡すと中抜きしそうだしな」
カシム「特別労働給付金ですか?」
わし「4時間以上の従事がミソで、A工場で4時間、B工場で4時間と掛け持ちする労働者は増えるだろう、長時間の単純作業じゃ無いから離職率も下がるだろうし、正社員じゃ無くても、掛け持ちすれば、ずいぶん給料が良くなるはず」
カシム「なるほど…良いですね、しかし足りますかね?」
わし「全然足らんな…」
カシム「どうするんですか?」(笑)
わし「ジョブ・ギャランティ・プログラムの発動じゃな」
カシム「具体的には?」
わし「まず溢れた失業者は国が雇い、今後建設予定の軍事都市に国営のライン生産工場を用途別に片っ端から建てる仕事に従事させる、工場が完成したら、そこで働かせ、これを繰り返して行く、これなら失業者対策に供給力も上げつつ膨れあがった需要にも対処出来る」
カシム「一石三鳥ですね」
わし「デフレになったら軍需工場以外は民間企業に払い下げだな」
カシム「働かず生活保護の受給者が増えたらどうしますか?」
わし「生活出来るギリギリまで支給額を落とせば、働いた方がマシと思うだろう」
カシム「確かにそうですね」
わし「それにじゃな、単純作業より、しんどいのは退屈だヒマより恐ろしい事は無いぞ」
カシム「そうなんですね…」
わしも若い時に、事業を売っ払ってガチニートを体験してみたが3ヶ月も耐えれんかった…空虚って奴はマジ危険な精神状態になる
バン!!
アリア「マルス様!!」
わし「な…なんじゃ…」
アリア「最近わたしを避けてません?コタロウの世話とか、銃を学べとか…なんか遠ざけてますよね!!」
メンヘラかよ…
わし「わしは忙しいんじゃ、見れば分かるだろう!」
アリア「わたしと仕事!どっちが大事!!」
メンヘラかよ…ここで最強の切り返しがある
わし「ニートでも愛してくれるなら、仕事辞めるけど?」
アリア「もちろんニートでも大丈夫です♡」
コイツには効かないがな!!
わし「冗談じゃ!!お前とゆっくり過ごしたいから、今を頑張っておる」(キリ
アリア「ほんとですか?それは何時ですか?」
めんどくせーな…
わし「色々と終わらせたらな」
アリア「じゃあ約束して下さい!!」
わし「絶対に約束を守る方法がある」
アリア「何ですかそれは?」
わし「それは約束をしない事だ」
By ナポレオン
アリア「ふふふふふ…そうですか…分かりました、夜道に気を付けて下さいね、次は見知らぬ天井で終わりませんから…」
輩かよ…
わし「わ…わかった…これが終わったらマルス自由都市でデートしてやる」
アリア「ホントですか♡やったぁ!!」
ああ…面倒な約束をしてしまった…これ以上要求されない様に話題を変えるか
サッ!! 右手を軽く挙げる
カシム「マジ卍!!」
ジアンビ「マジ卍!!」
アリア「何ですかそれは?」
わし「秘密じゃ」(笑)
アリア「えぇぇ!!気になります!!」
わし「わははははははは、そうであろう、そうなる様に人間はプログラムされてるからな」
次回に続く…
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