第四章 国家安全保障と外交政策

第78話 わし 〜主義について語る


ウゴン王国 王都会議室


ラコール「ついにここまで来たか、ガトのおかげだ、お前は宰相に任命する」


ガト「ありがとうございます」


ラコール「早速移動だ我々は王都以南でレガシィ大帝国が王都も含む北側を領有する」


ガト「さっそく建国の準備ですね」


ラコール「ああ…港さえあれば問題無い、最新の銃に蒸気船が揃えば、ジリジリとレガシィ大帝国を追いやってくれる」


ガト「あとは金ですね」


ラコール「それが問題だな、とりあえず改鋳して国庫に余裕を持たせる、外洋国との不平等条約はレガシィ大帝国の後ろ盾で破棄する、あとトランス国の書物にあったパーフェクトユートピア理論の共産主義を目指そうと思う、私が求める理想国家の答えがあった、王政は古い」


ガト「王政は王様と奴隷の世界ですからね、だから歴史は繰り返される、国民全員平等で国が経済を管理する思想ですね、私も良いと思います」


ラコール「そうだ共産主義を掲げ!!王政の終わりを内外に示す為、民主主義で行く!!ラコール民主主義社会主義国と言う名前にしよう」


ガト「良い名前です」




 〜〜〜ウゴン国内 極維党 隠れ家〜〜〜



バン!!


ハザン「完全にやられた!!ラコールめ!!レガシィ大帝国にトランス国にウゴン王国にも良い顔して最終的にウゴン王国を裏切るとか!!何枚舌があるんだ!!」


極維党幹部ヂータ「レジスタンスとして徹底的にレガシィ大帝国と融新会ラコールに抵抗しますか?」


ハザン「現実的では無い…兵も幹部も半分失った…後ろ盾となった民意もバラバラ(分断)だ…マルクス王国を頼ろうか迷ってる」


ヂータ「我々を支援していたアルビア国の戦艦を撃滅させた国ですよ!!あれさえ無ければ、レガシィ大帝国が来る前に我々のクーデターは成功してました」


ハザン「いや…真偽は分からないが、港沖の海戦は海賊の仕業と言う噂もある、マルクス王国は数年で大国と渡り合う国力を身につけ、国民は豊かだ、それにウゴン王族の保護と再興に尽力していると聞く、我々の目的とは何だ!!」


ヂータ「新たな王を据え、富国強兵を目指し外洋国を打ちのめし真に国民を幸せにする事です」


ハザン「まさにマルクス王国がしようとしている事だと思わないか?」


ヂータ「…た…確かに…」


ハザン「ヂータよ、マルクス王国に使者として行ってくれないか?危険な任務だがな」


ヂータ「分かりました、故国の為に!!」


ハザン「故国の為に!!」


極維党幹部「故国の為に!!」



  〜〜〜マルクス王国 謁見室〜〜〜



カシム「保護したウゴン王国王族のツキノ様が到着しました」


わし「うむ…連れて参れ」


マルクス王国衛兵「ははっ」


カシム「そう言えば海賊の件ですが、アルビア国の使者を救出して、アルビア国に帰国させてます」


わし「まぁ…何とかなったな、完全にヤラセだがな」


カシム「海賊の責任にするとか凄い作戦ですね」


わし「争いを起こすのも嘘だし争いが終わるのも嘘だったりするからな」(笑)



マルクス王国衛兵「連れて参りました」



ツキノ「………。」


ふむ…かなり美しいな…御旗にするには、分かりやすい容姿は大事だ


わし「平伏し無いんだな」


ツキノ「こちらから助けを請うた訳でもありませんので対等な立場でしょう」


カシム「な!!無礼な!!」


わし「良い、王族として来てるのか?一個人として来てるのか?」


ツキノ「一個人としてです」


わし「ははははははは!!対等だなそれで何を望んでる?」


ツキノ「何もありません、しいて言えばウゴン国民の安寧を望んでいます」


一個人か…政治利用はされないと言う意思表示だな


わし「レガシィ大帝国は圧政なのは確実だ、分裂して新しく出来た国はどうか分からんがな」


ツキノ「………。」


わし「亡命政府を建国してる、どうじゃ?国民の安寧な場所を作らぬか?」


ツキノ「新たな戦が増えるだけです」


わし「自由や安寧は暴力で勝ち取るしか無いぞ、歴史が証明している」


ツキノ「自由や安寧は暴力で勝ち取った一部の人間にしか享受されません…大多数の混沌と不自由が新たな暴力を生み出します、歴史が証明しています」


ふーーーん…阿保じゃ無いか、扱いづらいな


わし「では一個人のお前はどうする?」


ツキノ「このまま子も産まず、老いさらばえます」


わし「資本主義で計画経済(共産主義)を使い国民を全員豊かにする方法がある」


ツキノ「………。」


わし「例えば、この国は資本主義だ、構造的には王様と農奴だ、資本家がいて労働者がいる、資本家は利益を追求する為にめっちゃくちゃ労働者から搾取してる構造だ」


ツキノ「………。」


わし「わしはあの手この手で資本家の搾取を減らし労働者の権利を強化してる、例えば税金とかで格差を是正している」


ツキノ「結局はマルス様の懐が豊かになる構造では?いつか必ず歪みが生まれます、例えば、資本主義だと景気が良い時は生産を増やしますが、不景気になった場合は資本家は利益を追求する為、労働者をクビにします」


わし「はははははははは!!金貨や銀貨だな有限だとその思考に陥いるし、それで合ってる」


ツキノ「…………。」


わし「前提が間違ってる、理由はわしの金は豊かどころか無限にあるからな、不景気になれば、減税して国民のお金を増やし国が仕事を国民に発注すれば良いでは無いか、金を配っても良いな」


ツキノ「そ…そんな事…」


わし「可能だ、王都やマルス自由都市とか見てみると良い」


ツキノ「………。」


わしの治世は共産主義とも取れるし資本主義とも取れるからな(笑)


阿保はすぐ、何かの主義に基づきたがるが、この世はヒト、モノ、カネで動いてる単純な世界だ、わしから言わせれば共産主義も資本主義も意味不明だ、民主主義も独裁主義も良い面と悪い面があるだけの事で定義しようと言うのが馬鹿げてる、民主主義でも一党独裁になったりするしな、意味の無い矛盾に悩むとか阿保がする事だ



わし「では、ツキノはマルクス自由市民とする、仕事が見つかるまで生活保護を支給する」


ツキノ「分かりました、お心遣い感謝します」


マルクス王国衛兵「ではこちらへ」



カシム「良いのですか?傀儡国家で緩衝地帯にするプランが頓挫しますよ」


わし「たぶんこの国に滞在すれば考え方が変わると思う、ダメなら…そうだなウゴン人自治区を作って民主制にして自由と豊かさの為に戦う洗脳プロパガンダを行う」


カシム「上手く行きますかね」


わし「国民に自由と豊かさを与えて、そこそこ強い軍隊を作れば良い、人は失う事を極端に嫌う様に出来てるからな…鳥籠の中の自由とも知らずにな」


カシム「確かに…」


わし「自由や豊かさや家族を失うと分かれば、民衆は簡単に武器を手に取るし権威に弱い、後は目的や目標があれば民衆は頑張るからな、本来は王族と言う権威を使って国の再興とか分かりやすい目的目標にする予定だったが、その目的目標を個人の幸せの追求に、すり替えるだけだ、洗脳プロパガンダに少し時間がかかるのが難点だがな」



カシム「か…完全に魔王様ですね」


わし「前も言ったが、国家安全保障と言えwww」


カシム「政策はどういった感じですか?」


わし「ツキノなら王政にする、ダメなら民主制にする、とりあえず金融改革を行う」


カシム「そうですね、聖カトレイアと違って、お金自体が無いですからね」


わし「経済成長させて富国強兵を目指す、法律で戦争は専守防衛のみとして、傀儡の中央銀行は作るが、政府紙幣は発行させない、紙幣は中央銀行の発行する銀行券のみにする、国の資金調達は国債発行により、銀行や証券や保険会社が国債を買い資金調達させる、これで我が国の経済に依存する状態を作り、毎年金利が入る仕組みの完成じゃな、食料自給率も低くして、食料も依存させる、もちろん政治にも年次改革要望書を提出してバリバリの内政干渉もする」


まんま日本だな…



カシム「ゆるい属国ですね」


わし「ゆるいから自由と錯覚するのじゃ」


カシム「確かに、気付きませんね」



わし「まぁ他にも愚民化政策は当然として最強の洗脳機関の教育で悲観的な歴史観を植え付け、新聞を使い、鬼畜で野蛮な他国が攻めてくるとかガンガン植え付ける、これで強い不安を抱きやすい国民性にする」


カシム「なるほど、恐怖で操りやすくなりますね」


わし「そうじゃ、恐怖で操り、偽りの自由の為に喜んで殺人鬼になる理想的な緩衝地帯が出来上がる、あとは同族同種で絶滅するまで殺し合うなり好きにすれば良い」


カシム「さすが…魔王様…」


わし「わしも喋ってて…何かそんな気がして来た…」




次回に続く

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