移動式カフェ
金曜の午後。
今日は晴れていて暖かい。
冷たい風は、この場所はちょうど建物の関係で吹き込んでこない。
「こんにちわ、かしこまりこさん」
「あ、いらっしゃい、肥前ロンズさん。いつものかしら」
「ええ。おねがします」
ホットのソイラテ。ショット少な目。
常連さんがいつも飲む注文を覚えている。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
彼女はキッチンカーの前に設置したベンチに座る。
ソイラテを口にする。
ホッと、安らいだ表情を見せる。
「最近、みんな忙しそうですね」
「ほんとね。そういう私も忙しくなってきちゃったんだけど」
最近、常連さんはみんな忙しいそうだ。
「それでね、来週からしばらくお休みすることにしたの」
「そうなんですか」
目の前の道を、たくさんの人が通り過ぎていく。
みんな年末に向けて忙しそうに通り過ぎていく。
「そういえば、さっき水ぎわさんが来たわよ。相変わらず忙しそうだった」
「わぁ。久しぶりですね。元気そうでしたか?」
「えぇ、大変だって言ってたけどね」
この店の店主も何度か変わっている。元店主も元気そうで安心した。
「それじゃ、私はもう行きますね」
「ええ、それではまたね」
「はい、また」
さよならではない。ここでは”またね”がお似合いの街。
毎週金曜に開店する、常連たちの安らぐ場所。
今日でしばらくのお休みです。
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