第1話 剣聖は白い青い瞳の猫


俺ことクレイ・ウォーデルはこの変な状況に直面してる

俺はいつも通りの時刻で駐屯地に出勤した

そしたら上官に呼ばれ向かうと、2人の上官がいた

そしてその2人のおかしいほどの満面の笑み。もう恐怖しかわかねぇわ!

なんかめちゃくちゃ嫌な予感がするんすけど!?



1人の上官は立ち上がり俺の肩をトントンと叩き。『お前ならやれる』と言う

そしてもう片方の上官が指令書を俺に渡してきた

俺はビビりながら紙を受け取り読んだ


内容は人事部と特殊部隊からの命令。大尉から少佐に昇進と総合方面軍に行くこと。また、中隊メンバーをそのまま連れてくるようにと書いてある

詰まるところ「みんな揃って来月までに帝都に来い!」だそうだ

俺1人ではなく中隊メンバーを全員呼ぶ理由は何なのかは分からない。だが来いと言われれば行くしかない


内容的に見ると少し怪しい点は他にもあるものの指令書を持ったら爆発する訳でもなくマグマに飛び込めとも書いていないので上官の恐怖の笑みの理由がわからない。後で俺は後悔するんだが……


俺は指令書から顔を少し出して上官たちを見る

やはり殺人鬼を思わせる顔……

俺は一息ため息を着いた後に前を向いた


「了解しました」


また、上官たちがベシベシと肩を背中を叩きはじめた

「そうかそうか!頑張れ。ウォーデル少佐」

「気をつけるんだぞ?あの悪魔には特にな」

「……はぁ。分かりました」




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それから2週間あまりが経ち、総方面軍‎がある帝都に今列車が着いたばかりだ。今は昼過ぎと言ったところだ



沢山の線路が並ぶ赤レンガ造りで構成されるガリガルド駅。たくさんの人が立って待っている


命令書に書いてあった通り軍服の男性が立っていた。恐らく紙に書かれてあったスミス中佐だろう

スミス中佐は黒髪に緑眼。丸渕眼鏡が目立つ男性でだいたい三十路くらいだ

彼は一人で静かに待っててくれたみたいだ


スミス中佐は魔道列車から降りてきた俺に手を差し伸べてきた。敬礼だと人目にはばかれるので握手での挨拶を提案してるのだ。俺はもちろんその提案にのった。そして脱帽し左手の手袋を外して握手をした



「帝都へようこそ。初めまして。ウォーデル少佐。確か先日昇進したばかりでしたね?」

「ええ」

「おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「少佐はどのような勤務内容がご存知で?」

「いえ。上官に説明は帝都に着いたらとそう言われました」

「なるほど。了解しました」


ホームは混雑していて歩きずらい。確か今のシーズンは上京や帰郷のシーズンにあたる。だからいつもより混んでいるのだ


混んでるとはいえ軍服は目立つし地の目をはうのは得意だ。なのでスミス中佐を見逃すことなく駅を出ることが出来た



それから魔道自動車に乗り、本部に着いた


本部駐屯地はまぁ、施設がデカくて中は広い

たくさんのデカい施設がてんこ盛りだった

俺がいた駐屯地の4倍はあるな。間違いなく

軍大学生時代の時も校舎と宿舎の大きさに驚いたけどそれ以上だ

それも耐火レンガが上手く施設の重厚感を増している。門も特殊魔法陣式の門だった。警備や守りが頑丈なのは見てわかる

俺でも少し引けてくる。「自分は一体何をしたんだ?」と先程から自問自答してるくらいだ




驚いている俺を見てスミス中佐は小さく笑った。俺はスミス中佐の方を見て顔を顰めた

「すみません。懐かしいなぁと思いましてね。配属された時は私でも驚きました」

「……そうなのですか」

「ええ。10年前の話ですが」

やはり若く見えがちだけど、案外歳はいってたのか

「ん?てことは軍大学卒業後はそのまま本部に?」

「ええ。私は戦闘より頭を使う方が得意なので」

「あー。なるほど」

「ウォーデル少佐は体を動かす方が得意そうですね」

「ええ、まぁ。魔力は人より多いし体を動かすのは嫌ではないので戦闘はどちらかと言うと得意ですね」

「なるほど」


するとスミス中佐は身分証明書を検閲兵に見せた

検閲兵はそれを丁寧に調べたあと敬礼をし、通してくれた



駐屯地の中を5分ほど歩く

すると一際、周りよりも一際大きく重厚感がある

帝国軍の軍旗と総方面軍の軍旗、そして総司令部の旗がフラグスタンドによってズラリと並んでいる。これはいかにも帝国軍総司令部感を否めない

誰が見ても帝国軍総司令部

緊張と動揺を隠すために俺は大きく深呼吸したあと、中佐に続いた



中佐に従い中に入った後、とある部屋の応接室に入れられた



数分すると初老に当たる威厳がある男性が入ってきた。初老の男性の階級は中将

俺が会うにはあまりにも上の人過ぎる

一体、俺にどんな仕事が来るんやら…。はぁ……



中佐が敬礼すると共に俺も敬礼をした

すると軽く中将は敬礼して挨拶が終わった

「中佐。ご苦労」

「いえ。命令ですので」

「さてと……。初めまして。クレイ・ウォーデル少佐。私はイーサン・ライラド・シューゼルというものだ。名前くらい少しは聞いたことがあるであろう?」

そう言ってシューゼル閣下は手を差し伸べる俺は手袋を外し右手で握手した

「ええ。確か20年前のスベリニア遠征での功績は有名なので知っています」

「アワードの言う通りの生真面目だな」

「そんな事はありません。少しでも妥協してしまうと怠惰になってしまう性格なので」

「そうか。そうには見えんが……」


スミス中佐は大きな咳払いをした。そして話し始めた。こんな無理矢理な方法で話を中断させていいのだろうか……?


「そういえばウォーデル少佐は所属部隊と赴任理由を聞いていないそうですね」

「ええ。……!??」

すると急にシューゼル閣下が立ち上がった

「ん?!忘れておった!」

「えぇ……?」

「はぁ……」


俺は驚き中佐はため息を着く。どうやら中佐の感じだといつもの事なのだろう。だから分かりやすく注意したんだと思う

呆れた視線を向けられた閣下は恥ずかしく思ったのかすぐに座った


「赴任したばかりの士官に説明無しで働けと言うところだった。助かった。中佐」

「えぇ…?」


それはそれで鬼畜すぎるな。どんな天然なんだ?命令書を出したのは自分なのに忘れるなんて……

それだけ忙しくて頭に残ってないってことか?

なら閣下も仕事地獄を味わってるてことか


「いつものことです。慣れています」

「すまんな。ウォーデル少佐も」

「いえ」

「それでなんだが。ウォーデル少佐」

「はい」

「剣聖が所属するソードマスター部隊は知っているか?」

「ええ。強い軍人たちと剣聖で合成される部隊ですよね?市民の方々にも人気を博してるのでよく耳に聞きます」

「あぁ。そうだ」

「その部隊と小官に何か関係するのですか?」

「あぁ。貴官はアワード少将の推薦にて『虐殺の天使 アザゼリア』との適正または適正の確率が高いと評価された。そのことを考慮し貴官を特殊部隊所属のソードマスター部隊の隊長に任命する」

「えっ……?!!?!いや、小官はしがない……」

スミス中佐は咳払いをした後、メガネを上に上げた。どうやら俺は押されるらしい……

「私の知る限りでは有能だと聞いていますよ。魔法適性検査ではA+。体力試験でも結果は良いですし頭も悪くない。その上、方面軍の直轄特殊化魔道戦闘中隊の隊長だった。その上、アワード少将の熱烈な推薦をされた今ではあなた以外に候補者はいません」

「……分かっておる。アザゼリアと組んだ部隊はみな死ぬという噂も嘘ではない。嫌に思うのは分かる。だが必死に仲間の犠牲を出したくないという思いばかりに一人で努力するマリアが可哀想なんだ……」

「剣聖 アザゼリアは閣下のご令嬢なのです」

「なるほど」

「私が悪いとはわかっているのだが…」

「特にそのことに対して不満はありません。ただの謙遜です」

すると2人は驚いた顔をして見合わせた

「小官の私観的にですが……。『会ったことも話したことも共に戦ったことも無いのに文句を言って嫌がるのは差別だ』と思っています」

「そ、そうか……」

「なので……。了解致しました」



するとドンッと勢いよく鈍い音を出しながら銀髪に青眼の少女が入ってきた。他の士官たちが戸惑っている


「なっ!!??!?」

「マ、マリア??!!?」

「えぇ……???」


彼女は俺の近くに来た。そして俺を見上げて目をキラキラさせている。何だこの可愛い小動物は

そしてこの素早さに軽々しさ。うん。これは猫だな。間違いなく白くて青い瞳が目立つ俊敏の猫だな


俺は脊髄反射で彼女の頭を優しく撫でた

自分が何をしているか気づく頃には大分、撫でていた後だった

「あっ……。なぜ俺は頭を撫でている?」

そう言いながら俺は頭を撫でる。撫でられている本人は恥ずかしいけど嬉しいらしく黙って撫でられている。この姿がまさに擬人がした猫なんだが?


それを呆然と見る閣下とスミス中佐。あまりの驚きに口が開いたままだ。ここまであっけらかんな上官たちは見たことがないな。笑


さすがにこれ以上は色々とヤバそうなので止めた。というか怠惰になりそうだからやめた

「むっ!なんで止めるのですか!?」

そう言って彼女は頬を膨らませて睨んできた

可愛いとしか言いようがない。なんだこの生物?

「えぇ…??」

「心地よかったのに……」


撫でられて喜ぶってことは猫か?確か猫は撫でられることが大好きだよな?

「……なるほど。猫か」

「猫?」

「ああ。猫だ」

彼女は頭を傾げた。これは可愛い猫と訂正しないとだな

「??猫どこかに居るのですか?」

「いや、貴官が猫なんだ」

「へ…?」

「足が素早くて軽々しくて撫でられることが大好きで突然、変なことをする。そうなると猫だ」

「なっ…!?撫でられるのは好きじゃありません!猫扱いはやめてください!!」

「そうか?当たってると思うだけどなぁ?」


俺は再び彼女の頭を撫で始めた

すると大人しく撫でられている

そして手を離すと睨まれた

こうなると気付かないうちに猫をやっているとしか思えないんだけど?


するとスミス中佐が咳払いをした

俺はスミス中佐を見た。スミス中佐はなんとも言えないような顔をしている

まあ、上司の娘と部下がイチャイチャしていたら嫌だろう。イチャイチャしてないけどな


「その……」

「すみません。つい猫を見ると撫でたくなる性格でして……」

「いえ。アゼラリアが懐いているなら別にいいのですが」

「普段は懐かないのですが?」


てっきり人が懐っこい猫だと思っていたんだけど意外だなぁ


「ええ。色々と人間不信で怖い目にも会ってきたせいか初対面の人に飛び付くなんてないんですよ」

「なるほど。尚更猫ですね」

「ええ。それでですが。彼女は施設に出たばかりですし宿舎は怖がって。彼女の家の人が嫌がって……。なので貴官が監視できる程度の近さで彼女の住める場所を探して欲しいのですが……」

「あー……。了解しました」


あー…。まぁ、怖がるよな。何度も味方を死なせては1人で残るような化け物だ。彼女が殺したという話もあるくらいなのだから家の人は怖がるだろうな。宿舎だって美人なのだから襲われた経験もあるだろう。その前にぶっ飛ばしてそうだけど


「すみません」

そう言って彼はお辞儀した

「いえ。大丈夫です」

「シューゼル閣下。ウォーデル少佐を案内してきます」

シューゼル閣下を見るとまだ戸惑っているみたいだ。どうやら彼女の行動があまりにも珍しかったのだろう。まぁ、俺の行動も不可解だったけど


「あ、ああ。分かった」

「では行きましょう。ウォーデル少佐」

「はい」

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帝国最強の女の子(軍人)が猫みたいに可愛いなんて聞いてない! 響鬼 霊子 @Hibiki_Lay

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