我思う、故に我あり。
リリパットの女の子の落とした紙を手にしろうさぎさんとピクシーさんは彼女の後を追いかけます。
「……で、うさぎ。助けるって言っても一体どうやって? あんた何か良い考えでもある訳?」
「いえ。ないです」
「いや、ないです。って、あんたねぇ……」
「ないです。ないですけど、きっとピクシーさんもそうしてたと私は思います」
「い、いや、まぁ、それはそうかもしれないけどさ……」
「だから先ずは、彼女に聞いてみましょう。何かお手伝い出来る事はありませんか? って」
「……要は、出たとこ勝負。当たって砕けろ。成せば成る精神ってことね」
「はい、行き当たりばったり、です!!」
そうしてようやく二匹はリリパットの女の子に追いつくとその背中に向かって声をかけます。
「あの、すみません。リリパットさん」
その声にトボトボと一人力無く歩いていた彼女は振り返ります。
「え? あ、はい、私、ですか?」
「はい、そうです。あなたです」
彼女は今まで面識のなかったしろうさぎさんとピクシーさんを見て首を傾げます。
「あのぉ、何か私に用ですか?」
「はい、実はその……これ。さっき、落とした所を拝見したので持って来ました」
「あ、それは!」
しろうさぎさんの持っていた紙を見ると彼女は途端に顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそれを受け取ります。
「中身……見ちゃいました……よね?」
「……はい……すみません、見てしまいました」
「やだ、私、恥ずかしい」
「そんな事ないです。あの、それで、実はその事でリリパットさんに少し……」
「──ねぇ、リリパット!! 私達に出来る事はなんでもするから、一体何をすれば良い!?」
「へ?」
唐突なピクシーさんの申し出に戸惑いの表情を浮かべるリリパットの女の子。ですが、二匹から詳しく話を聞くと理解を示して思いの丈を述べます。その内容は紙に書いてあったものと殆ど同じで、周りのみんなよりもとても背の低い彼女は一向に弓が上達出来ずに悩んでいたのでした。
「──それで、だから私毎日毎日一人であそこで隠れて練習していたんです。私はみんなと違うから……もっと頑張らないと弓だってまだまともに扱えないしで……ほんと、リリパット失格ですよね……」
「……リリパット、あんたって娘はほんとに……ぐすっ」
「え? ピクシーさん?」
「な、なによ、泣いてなんかいないわよ。ってか、普通泣くでしょ、このバカうさぎ」
──ぺし。
「うわわっ」
──ポトン。ペラペラペラ……パサ。
そしてピクシーさんに叩かれた拍子に落としてしまった本が開いたページ。本を拾おうと手を伸ばしたしろうさぎさんはそこに書かれてあった言葉を目にすると何かに気づきその言葉を口にしたのでした。
「我思う、故に我あり……」
「は?」
「へ?」
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