父親のこと
バブみ道日丿宮組
お題:飢えた保険 制限時間:15分
父親のこと
「保険金詐欺にあったって?」
「そうなの。お父さんが死んだから保険金が入るってさ」
「それでどれくらい詐欺られたの? っていうか、お父さん生きてるの確認するくらいできたよね?」
「50万……。お父さん嫌いだから連絡先に入ってないし、拒否してる」
「あぁ……なるほどね。ってか、よくそんなお金あったね」
「遺産だよ。お母さんのね。これがあるから、お父さんとより一層距離ができたわけだけど」
「受取人がお父さんになってなかったとか?」
「そう。私だけが受取人になってた。だから、いろいろ揉めた」
「ちなみにどれくらいあったの?」
「1億」
「はぇ? 今聞き慣れないワードを聞いた気がする。億とか置くとかなんとか」
「1億だよ。聞き間違えないで」
「……なんで一般家庭の家でそんなにお金あるわけ?」
「昔エリートOLだったらしい」
「エリートOLってなによ。できる人間なのはわかるけれど……。よくそれでお父さんと巡り合ったね」
「いわゆる政略結婚だったらしい」
「そうなんだ」
「だからこそ、あまり愛情なんてなくて、私は愛されることはなかった。だからこそ、遺産が自分にこないのがたいそう不満になってるって聞いた」
「聞いたって、本当に距離とってたんだね」
「まともに話したこともないよ。育ててくれたのは、メイドさんとお母さんだけだし」
「ふーん。君の家庭事情は聞いたことなかったけど、大変だったみたいだね」
「大変かなのなぁ」
「まぁでも被害額よりも財産のほうが多いなら、問題なかったんじゃ?」
「あるよ。せっかくお父さんが死んだって思ったのにさ、生きてるんだもの」
「あんたひどい女だね! 仮にも自分の父親でしょ?」
「敵でもあるよ。姑息な手でどうにかしようとこそこそと動いてるし」
「それに対応できる君もすごいんだけどさ……もっと仲良くできないわけ」
「敵と仲良くする理由はないよ。だから、詐欺られたのはショックがでかい」
「金額よりも内容ってか。その気持ちはわからないなぁ」
「両親と仲良いものね。羨ましい」
「なら、お父さんとーー」
「その気はないよ」
「そっか。とりあえず、行こっか。お嬢様」
「うん、気晴らしお願いね」
父親のこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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