優しい世界の姫と憎しみの騎士
仲仁へび(旧:離久)
第1話
涙に暮れる、お姫様。
一見すると、可哀そうで可哀そうで。
でも、誰も彼女を助けてはくれません。
暗闇の中、牢屋の中でうずくまるお姫様がいます。
お姫様は、悲しそうな瞳で、自分を閉じ込めた人を見つめました。
お姫様を閉じ込めた人は騎士でした。
本来なら、お姫様を守らなければならない存在です。
「どうして、こんな事をしたのですか?」
悲しみに暮れる姫。
しかし、問いかけられた騎士は憤っていました。
「理由が分からないのですか? 実は、私は前々からずっと貴方を憎んでいたのです。きれいごとしか見えないあなたを。あなたのせいで大勢が死んだ」
騎士は憎々しい表情をお姫様に向けます。
その形相のあまりの恐ろしさに姫は悲鳴をあげました。
事実をつきつけられてなお、お姫様は信じられませんでした。
、長年忠実だった自分の騎士が、こんな蛮行に走るような事は考えられなかったのです。
皆が皆、言葉を尽くせば仲良くなれる。
お姫様は、自分が生きているのはそんな世界だと信じていたからです。
「どうしてこんな事を? 教えて、何か理由があるんでしょう?」
「それは、あなたがあまりにも愚かだったからです」
お姫様は精いっぱい理由を考えてみましたが分かりません。
そんなお姫様を見て、騎士は話をする意味もないと去っていきました。
残されたお姫様は、ずっとそのままです。
最後まで理由が分かりませんでした。
彼女の身に訪れた結末は、あえて記さない事にしましょう。
とある国で戦が起きた。
それは、長年いがみ合っている隣国との戦だった。
けれど、国を率いる若き姫は、戦には反対していた。
戦ってはならない。
血を流す事はいけない事。
そう教えられていたからだ。
姫は、ずっと話し合いを望んでいた。
けれど、相手は切羽詰まっていたため、交渉に応じる事はなかった。
戦を行う国の者達は、激しい貧困と食料の乏しい国であったため、よそから奪わなければ生きてはいけなかったからだ。
そうこうしている間に、姫の国は蹂躙されていった。
姫はその戦の最中、行方不明に。
姫を守っていた騎士も、同じく行方がわからないままとなった。
優しい世界の姫と憎しみの騎士 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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