結合識疾患

十八歳の時に聴覚ちょうかくを失った今は二十九歳あれから十年になる

結合織疾患けつごうしきしっかんわずらった、病気になって神経がむしばまれた

私の成長は歌う事だった、進路は決めていた

ボーカル専門学校そこで私の夢をつかめる

はずだったカレッジで(二年制大学)で耳に感染症かんせんしょうを患った

それは悪化を重ねた、クリスマスをさかい

両耳が失聴しっちょうしたその日先生はピアノを弾こうとした

それを聞いて楽譜がくふにする課題かだいだった

ペンをかまえて待っているとみんながペンを動かす

だけど私はテストの始まりを待っていたすると

一人ずつそれらを書き終えて部屋を出ていった

私はテストの始まりさえ聞こえなかった

それは最終日だった音楽履修おんがくりしゅうの日

ついてなかった、帰宅の車内で


「お父さんの声がどんな感じだったか思い出せない」


同じ日々にはもう帰れない今まで望んでいた事が

全て消えた、だけどあきらめきれない気持ちはあったけど

耳が聞こえないのにどうやって歌を歌う事ができる

想像も出来ない、ため息をついた。


娘の音楽は内側こころのなかに生き続けているはずだ、ただ自分でも

問い続けたよ娘に何ができるかを、でも言うしかない

今まで娘を見ていてわかる事がある、娘は心から音楽が好きだ


「また、始めてみよう」


「お父さんそれは、頭がおかしいって!」


だけど私はギターチューナーを手に取りメモに書いた

調ちょう(音楽用語の一つ)を口ずさむ、すると上手くいった!

今音楽は音ではなくそれは感覚的かんかくてきに楽しい!

だけど緊張きんちょうしてこわいだから私はあこがれた夢ではない

だって私は此処ここにこれた、諦めかけた夢の続きを思い出す

四歳から歌ってた聴覚ちょうかくを失って音楽から遠ざかって

それから模索もさくした、もう一度

歌う方法を記憶をめぐらせながら

チューナーをもちいた自分の抑揚よくようを信じて

クツを脱いでるのはその振動しんどうを音を追いかけ拍子と音律を

感じる、床から伝わる

自分で書いた曲は『TRY』

聴覚を失い諦めた、だけどもっとやりたかった

そして取り戻した。


昔には戻れない

青い空をおおった厚い雲でも

乗り越えて見せる

そして取り戻すの、できるなら、そうできるなら

もう邪魔じゃまさせない

この道しか知らないから

それが私!

望んだ道じゃない、その道の景色でもない

でも考えるのはやめた

今日・・・だからもう一度

もう一度、もしできるなら


会場は歓喜かんきに包まれた耳が聞こえなくてもその歌声はとても綺麗きれい

音程おんてい間違まちがわずやりげた、全員が総立ちになるほど

おどろかせ、感動された、こんなことが出来るなんてと

みんなが思わなかったであろう、それほど素晴すばらしかった。



昔にも聴覚を失った作曲家がいたそうベートーヴェンである

彼も同じく途中から耳が聞こえないのにもかかわらず

記憶から曲を作り耳が聞こえなくても、指揮者をして

練習中に後ろのピアニストに


「そうじゃない!」


と言ったという、誰しもが驚いた

耳が聞こえなくても振動で分かったみたいだ

あの有名な曲『運命』いわゆる第九も耳が聞こえない状態で

作曲した、貧しくて生活も困難だからこそ

その偉業を成し遂げたと言える。

指揮者として演奏が終わった後、観客からの拍手にも

気づかなかったという、もうこんな事を出来る人存在しない

とまで言われたが


だが彼女はギターを弾き更に声を出し歌ったのは

それは奇跡ではなく諦めたくない気持ちと音楽が

心から好きだったから出来たと私は思います。


『どんな不幸が訪れても、心さえ折れなければ不可能なんて言わせない』




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