プロローグ ~出会いたくなかったな。~

これはまだ、彼が私の近くにいた頃。




「やった!!!推ししか勝たん♡」


私は、誰にも言ったことがない趣味がある。ゲームやアニメ、その他諸々。理由は、小学生の頃に馬鹿にされたからだ。だから隠れるように、ベンチの後ろでイベントのガチャを回していた。でも、その後ろで、一回のため息が聞こえた。

人が幸せな時に…

確かにさ、ため息は自律神経を整える働きがあって、科学的に幸福が逃げていくとかはないけど、私はため息が苦手かな?


それから何となく話をして、少し嫌味を言われて、その男の子は帰って行った。


その次の日に、なんとなく早く学校に行こうと思って、教室に入ると、昨日の男の子がいた。まじか。



そこでも、何気ない普通の会話をしたような気がする。もっとちゃんと覚えておけばよかったな。


でも彼はきっと、また私のことを馬鹿にしていたんだろうな。

そう思うと笑いがこみあげてくる。


そこから普通に、挨拶を交わす関係になり、少しずつ会話が増えていった。


そんな時に。いつも仲良くしている、優と夏香からこんな事を言われた。


「愛ってさ、原君と仲いいの?」

「え?なんで?」

「いや、だって、原君が誰かと話してる所あんまり見ないし、愛もクラス一緒になったの3年になって初めてでしょ?少し意外だなって思っただけだよ。」

「んん~。そうなの?原君、普通に話するよ?」

「そうなんだ、愛が良いならいいけど、気を付けてね?」

「ん?それどういうこと?」

「いや、私達も噂しか知らないから、あんまり言いたくないけど、原君中学は、結構離れた地域の所にいて、毎日のように喧嘩とかしてて、女の子と遊びまくってた、みたいな話し、聞いたことない?」

「顔は結構普通にかっこいいのにもったいないよね~」


2人はそんなことを言ってきた。この2人は今でも友達で、私のことが心配だったと後から聞いた。


私から見た原君は、そんな事をしない優しい人だなって思ってたよ。嫌味は言うけど。


なぜか同じようなことを、他の人からも言われるようになり、本当なのかと信じかけたときに、原君は私のことを助けてくれたんだよね。


今思えば、この出来事があったから、原君の事をいろいろ知ったんだよ。







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