王国騎士アルフレッド・ロイヤの日常

@samayouyoroi

第1話 王国騎士アルフレッド・ロイヤ

「お疲れ様です!」

行き交う者は皆アルフレッド・ロイヤに敬礼をした。アルフレッド・ロイヤも都度立ち止まり返礼を返す。その態度に兵士たちは感動した。


「立派な方だよなあ」

「あんな偉い方なのに立ち止まって返礼してくれるんだもんなあ」


背後から聞こえる声にアルフレッド・ロイヤは何の感想も抱いていない。そしてアルフレッド・ロイヤは屯所の奥にある彼専用の更衣室に向かった。


数分後に更衣室から出てきたアルフレッド・ロイヤは、カーキ色のブルゾンに鳥打帽子という極めて地味な姿であった。誰にともなく小さくお疲れ様です、というとそのまま裏口から出ていく。


王国騎士たるアルフレッド・ロイヤはただの軍人ではない。庶民はよく王国騎士団の全ての軍人を騎士というが、実際に王国騎士の勲位を持つものは極めて少ない。貴顕に属する戦士として、指揮官として、その権威は極めて高く、ある部分では爵位を持つ貴族すら上回った。


例えば、非番であっても、治安や消防に関する事柄に遭遇した場合、警邏よりも消防よりもさらにその上を行く強力な治安維持権限を有し、国民の安全を守るための全権を得るのだ。佩剣はその証であり決してただの飾りではない。


なので高貴なるアルフレッド・ロイヤは、これ以上そんな面倒に巻き込まれたくないので、なるべく目立たないような格好に着替えて、僅かな賃金でちびちびとお酒を飲んで帰路につくのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る