カプリッチオと踊る夢を見る
高戸優
Prologue
貴方はこのデパートを知っていますか?
二匹のうさぎの像が自動ドアを挟み出迎える、デパートのこと。ほら、いつの間にか貴方の目の前に。
さあさあ足を踏み入れて。大丈夫、だいじょうぶ。
ここは、様々な場所、色々な方の話が集まるデパートとなっております。
ご利用は簡単。貴方の目の前にある、その飴玉のようなエレベーターのボタンをぽちっと押すだけ。
簡単でしょう? ですから、さあーー……ああ、申し訳ありません。私としたことが、各階のご紹介が遅れてしまいました。
それでは気を取り直して、下から上へ順繰りと。
地下一階には多種多様なお花を取り揃えております。
一階では化粧品やアクセサリーでの彩りを。
二階はお洋服に包まれた華やかなランウェイ。
三階ではお茶とお菓子でひと休み。
四階で文学と芸術に触れましょう。
五階は楽器やレコードが輝かしく立ち並びます。
六階で海外や季節イベントへ想いを馳せたなら。
七階ではおいしいご飯とカクテルや遊びを嗜んで。
最後の屋上の、不思議な不思議な遊園地で夜明けまで。
……ご理解いただけましたでしょうか?
ここは、様々な場所の話が集まるデパート。
小さなお話を読み解くことのできるデパートです。
ぜひ貴方のお好きなところへお寄りください。
まずはそう。指を伸ばして、飴を押してみて?
ドアが開けば甘かったり酸っぱかったり、時には苦くて怖い、色々なお話が転がっていることでしょう。
覚えたい名前は覚えればいい。
味わう話は選べばいい。
そんな自由なお店が、玉兎デパートです。
さて、準備はよろしいですか?
どうぞ、ごゆるりとーーお楽しみください。
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