おじさんがWEB小説に挑戦してみた話〜俺でも書けるんじゃね? って思って始めたらすごく楽しめた上に宣伝で始めたSNSにハマる始末〜

日諸 畔(ひもろ ほとり)

第1話 本当に思いつきだったんです

 きっかけという程のことはなかった。たぶん、ずっとくすぶっていたものが不意に発火したに過ぎないと思う。

 ある寒い日、俺は唐突に思い立った。


 よし、俺もWEB小説を書こう。


 こんな『おじさん』と呼ばれる年齢にもなって何をやっているんだと、自分でもわかっている。何となくでやるには難しい趣味だということも理解している。

 それでも、軽いノリで始められてしまうのだから恐ろしい世界である。


 ここで、俺はどういう人間なのかをざっくり語らせてもらおう。あ、もちろん身バレしない範囲で。


 俺はざっくり言えば『オタク』趣味だ。特にロボット方面が好きだ。といってもそれなりに雑食で、いろいろなジャンルに手を出したりしている。

 基本的に受信するばかりで発信はしないできた。とある大手SNSも登録しただけで放置して、一人の世界を楽しむタイプであった。


 仕事もほどほどに真面目にやってきた。若い頃はそれはもうやる気のない人間であったが、歳を重ねることで、働くことにまつわる夢を持つことができるようになった。

 その夢を叶えるための国家資格も取得したり、それなりに充実した日々を過ごしていた。


 そんな俺がWEB小説を書こうとしたのには、いくつか理由が思い浮かぶ。それらの相乗効果で、実際に動き出したのだろう。


 実は、中二病の頃に少し小説のようなものを書いていたことがある。当時はラノベ黎明期で、女魔道士が長い詠唱で魔法を使う作品や、少女型アンドロイドのハーレム的な作品などを読み漁っていたのに影響された愚行だ。

 あまりにも恥ずかしいので多くは語らないが、書いてみて序盤でやめるを繰り返していた。今の言い方をすると、すぐにエタる黒歴史といったところか。

 もし気になるなら、俺の近況ノートを探ってみてほしい。こっそりその辺を書いてあるので。

 多くはないが、ラノベを読む趣味は大人になるまで続くことになる。

 歳を重ねるにつれ書くことはなくなったが、その頃に妄想した物語は、大人になっても頭の中で続いていた。


 本やWEBで読むわけではなかったが、WEB小説がだいぶ前から流行っていることは知っていた。元々はWEB小説であった作品のアニメを流し見していたからだ。

 頭の中では「俺でも書けるんじゃね?」と思いつつも、動き出しはしなかった。


 最後のひと押しは、昨今の社会情勢だろう。

 例の感染症対策で在宅勤務が増えた。通勤時間がなくなった関係で暇な時間ができ「なんかやろうかなぁ」と思うようになった。


 まぁ、それらが重なって実際に動き始めることを決めた。

 いくつもあるWEB小説サイトからここ『カクヨム』を選んだのは、実は偶然だ。たまたま目に付いたので登録したという程度のことだ。

 結果的に、それでよかったなとも思っている。


 書きたい物語はほぼ決まっていた。あの頃から妄想していた複数ある物語の集大成だ。

 アウトプットするつもりではなかったが、長年練りに練っていた設定はそれなりに深いものだという自覚があった。

 そこに、現在の俺の好みをいれたら、読めるものが書けるのではと軽く考えていた。


 まず困ったのはペンネームだ。全く思い付かない。

 とりあえず適当に決めて、後でちゃんとしようと『ほほほほ』みたいな名前で登録したことを覚えている。

 その次に困ったのは小説のタイトルだ。こいつも全く思い付かない。

 ペンネームと同様、適当に決めて本文を書き始めた。


 当時はWEB小説のお作法も知らず、思うがままに書き殴っていった。意外にサラサラと書ける自分に驚いていた。

 若い頃にラノベを読んでいたり、仕事のメールや資料で文章を書くことが多かったからかもしれない。

 書きながらタイトルやキャッチコピーを必死に考え、それも登録した。本文よりも苦労した気がする。


 タイトルは『君の姿と、この掌の刃』とした。

 我ながら良いタイトルだと今でも思っている。


 プロローグを書き終え、満を持して投稿ボタンを押した。

 え? ストック?

 そんな言葉は俺の中に存在しなかった。

 あるのは『おはなしかけたよー みてみてー』という思考。

 ただそれだけだった。


 初日のPVは0だった。



 つづく(かもしれない)

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