狂った季節
セインSK
第1話
酒浸り弱き男の胸の内歌にしたため娘に渡す
かってないほどのうじうじした依存症的な病んだ人間。それが離婚後1年間の僕だ。
いや僕というか…でもやはり僕なのだ。
僕はバーのカウンター越しに夜の女のスカートの中を旅した。
そして昼間はまるで牛の糞を踏んだように困った顔して魂が抜けていた。
その脳みそは気の抜けたサイダーのような味がした。
そしてコインランドリーのドライヤーみたいにグルグル目が回ってとろけたように眠った。
狂った寒い季節は終わりを告げ、その間に僕は50ダース分のビールを飲み干し、そして飲み尽くしたウィスキーは軽く100本を越えたように思う。
「酒で何もかも忘れるわけでもないさ。ただ目の前にいる君が好きでたまらないだけの話」と嘘付きの口は言う。
見透かす女は…
そんなことないわ。あなたの目は遠い女を見てる。 過ぎ去った女よ。あなたはまるで餌に群がるピラニアみたい。私に食いついて離さないの。うざったくまとわりついて来るのよ。本心よ。ありがたく頂戴してね。私のキッスがわりのMなあなたへのプレゼントよ。
そしてシャッターは降りる。ジ・エンド…
今晩はもう女はいい。酒だ。酒が俺の気持ちを慰める。ペニスが去勢されたかのようなキョトンとした目で幼子のように味気なく笑うしかない。
翌日の女はまたこう言いはなった…
あなたは鋼鉄でできたハンマーで頭をかち割られたのよ。無様なショックが顔面に書いてあるの。失ったものは簡単に取り戻せはしないの。ただね。あなたの人生なんて私には関係ない。
だいたい愛してる奥さんと娘さんの元に戻りなよ。ここはね。あなたみたいに純粋を気取って来る客とは異質なとこにの。
僕は病んでいた。帰りのタクシーの中で頭が割れたように痛むかと思うと次の瞬間には頭の中のキャベツから蝶々になったアオムシ君がひらひら舞って飛んだ。
翌る日の夜にはまた同じバーに行く。その翌日もだ。夜の僕はか弱き羊であり、限りなく無敵だ。
自分の中にもう1人の自分がいてくるくると入れ違う。対人恐怖で誰の目も見れないほどに震えたかと思うとその次の瞬間には傲慢なギラギラした目でカウンター越しに女を眺めた。
僕はそんな夜の世界を愛してやまない依存症的な妙な季節にいた。僕はカウンター向こうの女の渡したナプキンに酔っ払いながらこんなことを書く…
嘘つき涙は汚れてる
だって心が汚れてる
自分にさえもわからない
何故か涙が溢れ出す
その時その時違う色
ひび割れガラスが砕け散る
ハートの奥から血を流し
心が砕ける夜だから
あなたの前では本当の
涙を流せるはずなのに…
そんなあなたはもういない
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