Love it

鯵の閉まり

もう一度だけでも

みなさんもあるだろうかこんなことを、もう一度逢いたい、あの頃に戻りたいと


僕 4年生の山本康太やまもとこうたはなんの予兆もなく、親に出かけるよと言われ、車に乗る、

どこにいくか分からず、遠くにお出かけかな?と半分期待をよそっていた。


そういえばと思い今日はお母さんの誕生日だった、だからどこかにいくのかと思っていた、だが期待と予想は外れて目的地は近くのデパートのペットショップだった。

僕は犬や猫が好きだけど苦手だった、何故かそれは噛んできたり追いかけて来たりするからだ 川がある公園で遊んでいて犬に追いかけられたこともある追いかけられた時はただただ恐怖でしかなかった。


そして、ペットショップへ入ってなにを買うのか、いや買うのかすらわからなかった。

ずっと何かわからず興味がなかったのでペットショップから離れて待っていた。

いや、その時は動物が怖かったのだろうと今になって思う。


そして、ある程度してからペットショップに戻ると親がひいていたショッピングカートにピンク色のゲージと牧草、銀色の袋が入っていた。

店員さんと親が話しているところに入ると店員さんの足元には大きな段ボールがあった

「まま、なにこれ」

お母さんに聞いてみながら段ボールを覗いたそしたら中には底にひかれた牧草と小さくて毛が茶色の動物がいた。

そしてお母さんは

「うさぎよ」といってうさぎを抱っこして可愛がっていた。

「だっこする?」

抱っこなんて出来ない、犬ですら撫でれないのに噛むかもしれないウサギなんて到底無理な話だった。

「怖いから嫌」と言って断わった。

それから親はレジで会計を済まし、車に閉じた段ボール、ゲージ、餌を入れて

まだ少しパニックな僕は親と家に帰った。


家についてリビングに入ってすぐ横に段ボールを置いて、お母さんはその段ボールを開けた。

家にやってきたうさぎに僕は少し興味がわいたので見てみた、するとうさぎは段ボールの中に小さい体でいたそしてとても怯えていた。

新しい環境にうさぎは怖がってるのだろうと当然のことを思いながら見ていた。


ゲージを作ってウサギの家が完成した。でもうさぎは怯えていたので親はすぐに段ボールからうさぎを出さなかった。


その日のことは今でも覚えている。6年がたった今でも、

あの日の晩御飯はカレーだった。お母さんは大のカレー好きだったので誕生日にそって晩御飯はこカレーとなった。


それからうさぎはゲージの中で過ごすことになり、たまにゲージから出したりしては

恐る恐る歩いたり匂いを嗅いだりして怯えていた。

(ネザーランドドワーフという種類のうさぎで臆病なのが特徴だったりします)


僕はその怯えて丸くなったウサギを触りたいと思った。けど動物を撫でるのはその時は少しの勇気がいった。けど自然と手は伸びて触るだけのようなものになっとけど、初めてうさぎを撫でれた。

うさぎは噛んだりせず大人しくそこにとどまっていた。

ウサギの名はお母さんが決めてショコラと決まった。由来は毛の色がお菓子のショコラ色だったからだ。


それから何か月か経ち


今では本当に覚えていなくていつの間にかショコラに触ることへの抵抗すらなくなって、そしてかわいいと思っていた。

本当にいつのまにかなんだ...


ショコラの可愛いところなんていっぱいいっぱい言える、鼻がひくひくして呼吸しているところ、もちもちなほっぺ、くりくりな目、すべてが可愛い。

可愛すぎてうさぎに僕はずっと引っ付いていた。


たまに胸に乗って来て僕の鼻を舐めたりしてきたりしてうさぎなりの愛情表現ももらった。


それから僕が成長するのと並んでうさぎも成長していったその間ではたくさんの出来事があった。


ある時はうさぎと旅行に行った

お父さんの出張先の家にショコラを連れて行ったり、


ある日は僕が一人でお留守番しているときのいショコラがいるから寂しくなしと思えたり


一緒に寝たり、遊んだり、たくさん写真を撮ったり、、、


何度見ても飽きないしいつまでも触りたい、撫でたい、

可愛くて大好き、

年齢的にもそういうことを言うのは恥ずかしかったけど、ショコラにははっきり、大好き、可愛い!って言えた。何度も何度も言った。


ショコラが足を怪我した時はすぐ病院を探して、僕は運転ができないのでお母さんと行って連れていった、大きな怪我ではなかったのですぐに治った。

海の見える公園でうさぎのさんぽ、うさんぽをしたり「ショコラ!」と呼んだら来てくれたり。


もう、全てが全て素晴らしい思い出だった。



動物が怖かった僕でも、ショコラと過ごしている間に、噛んだりされたこともあるけど全部嫌なことをされた仕返しで、いきなり噛まれたことはない。

だから、動物は噛んだりしないよ優しいんだよって教えてもらった。


今では、犬だって猫だって触れる。全てショコラのおかげだ。


そして、その時間もあっという間に....


僕が高校生になった春、ショコラは弱りかけていた。

僕は毎日毎日、気にかけた。死んでほしくないから、また元気よく走って餌をモグモグ食べて元気な姿を見して欲しかったから。


けど、そんなことも叶わずどんどん弱りかけてショコラは立てなくなったゲージの中で伏せていた。


明日が最後かもしれないと、運命を受け入れがたいがどうにもできないことだったのでせめて大好きだよ、可愛い、と言いながら撫でることに集中して、ずっと、ショコラと出かけて帰ってきたときなど会うたびに撫でた。


何度も何度も撫でた、時間が止まってずっと撫でていたかった。この撫でる感触忘れまいとずっとずっと。


そして夏のある日学校から帰ってくるとショコラは小さい段ボールの中でふかふかのタオルを下に眠っていた。


僕は受け止められなかった、まだ撫で足りないし言い足りない大好きだよって。


僕は上から眺めるように


「ショコラ、ショコラ、嘘だよねショコラ」


触っても撫でても、動かない、あの温かいショコラの体温もなく心臓も動いていない

僕は声に出して泣けなかった。この状況を受け止めたい自分と受け止めたくない自分がいた泣いてしまっては受け止めることになってしまうと思った。だからずっと涙でぼやけた視界の中ショコラをただただ見ていた。涙は止まらない。僕の頬から垂れた涙はショコラの目に入った、僕はそれが少し嬉しかった。


僕は声出すのを必死に抑えながらも1時間ほどずっとショコラを見ていた。


それからお別れをとお花を買ってショコラが眠っている段ボールの中に入れた


次の日僕は学校だったのでお母さんが代わりにお葬式に行った。


学校に行くともう形すらショコラと会えないので僕は最後に

「ショコラ、ありがとう、大好きだよ」と言って撫でた。


複雑なきもちなどほって真剣なきもちで受け入れショコラと別れた。


いつもいると思ってた、当たり前にいると思っていたショコラがもういなくなっただから

野菜が余った時もショコラにあげようと思って小さくしてあげようと思っても..あ、もういないんだと思ってしまったり、出かけ先から帰った時も「ただいまショコラ!」と言ってしまったり。

これは、身の回りのものにも目を向けると家族だって大切な人だって、友人だって、いつのまにかいなくなるかもしれないということだ。そしていつの間にかではもう手遅れだだから日々を、時間を大切にしなければならない


スマホでウサギの動画をみて、可愛すぎるからもう一度うさぎを買いたくなっても買いたくなかった。僕が欲しいのは、もう一度逢いたいのはうさぎではなくだから


oneではなくitである。I love it (rabbit)

















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Love it 鯵の閉まり @ajikou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ