名前はルイーナ
今日は私の18歳の誕生日。
私は養護院でずっと暮らしてきた。
お父さんとお母さんは知らない。
一度も会ったことがないから知らない…
養護院のママたちはみんな優しくて大好きだった。
でも家族でないと知ったのは5歳の時。
養護院に連れてこられたルドルフに言われたの。
「おまえも捨てられたのか?」って。
どういうこと?と聞き返したら、ここは捨てられた子たちが来るところだっていう。
私は捨てられた子だったの?
ママたちに「私は捨てられたの?」って聞いた。
ママたちは少し困った顔をしたけど
「違うよ、今は忙しいけど、都合がつけば面会にきてくれるからそれまではママたちと待っていよう」と言った。
でも6歳になっても7歳になっても、そう、今日まで誰も面会になんて来なかった。
16歳になったときにママたちに話があると言われ、お母さんとお父さんの話を聞いた。
「ルイーナの両親は罪を犯して、鉱山で働いているんだよ。ルイーナはそこで生まれて、でもそこは子どもを育てるには環境がよくなかったから養護院で引き取ったの」
そう言われた。
両親は犯罪者だった…
だから私は養護院で育った。
……………それじゃあ捨てられたんじゃなかった?
そうママたちに聞くとなんだか悲しそうな、でも怒っているような顔をした。
「本当は面会の申請を出せばいつでも会うことができたの。
……………でも一度も申請は出されなかった。」
……………そう。
やっぱり私は捨てられた子だったんだ……………
分かっていたことだった。
だって一度も会ったこともない。
会いになんてきてくれなかった…
それだけで分かってた。
「両親はどんな犯罪を犯したの」と聞いたら、18歳になった時にやっぱり聞きたければ、それを説明してくれる人に話を通してくれると言った。
私は今日18歳になった。今まで養護院で刺繍を売ったりして稼いだわずかなお金をもってここから出ていく。
「ルイーナ、お誕生日おめでとう。
18年間あっという間だったわね。寂しくなるわ。いつでも会いに来てね」
「ママ、18年間育ててくれてありがとうございました。
犯罪者の娘なのにずっとみんなと変わらずに接してくれた…
ママたちがいなければきっと私は18歳になれなかった……
……ほんとうに…ほんとうに……ありがとうございました……」
「ルイーナ、あなたは私たちの大切な娘よ。いつでも会いにおいで。愛してるわ」
「はい…はい……ありがとうございます……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます