救世主との運命

そんな事を考えているとふと、きゃっきゃっする声が聞こえてきます。

この場違いな声の高さ、話し方はミカリーナです……

一番先に捕まったはずのミカリーナがなぜこんな楽しそうに話しているのか、悪い予感しかせずそちらのほうを向いてみると笑顔のミカリーナがエヴァンズ様に身体をひねりながら何とか顔が見えるような体勢になりながら話しかけています。その努力他の場所で発揮させるべきだわ…


「エヴァンズ様、私たちのこの出会いはきっと運命ですわ。私が窮地の時に現れて下さる救世主様。まさに運命ですわ」


そんな事を話しているミカリーナがいる。

エヴァンズ様は微笑みを浮かべてはいるが青筋がたっている気がする…


「エヴァンズ、待たせたな。なんか、一気に老けたか?」


「ジョージア様、対応が遅いです。話など聴かずにとっとと拘束すればいいものをすべての話を聴き、対応するから私がこんな女の世迷い事をずっと聞かされなければならなかったのです。」


「エヴァンズ様、こんな女だなんて。リーナとお呼びください。今後親密になるためには呼び方も大事ですわ」



…………宇宙人再来……


ここにもいた………


「今の聞きましたか?こんなうすら寒いことをずっとわめき続けているのですよ。恐ろしい。早く第1種取締課へ引き渡しましょう!」


エヴァンズ様、素が出てらっしゃいます…普段はクールなのに裏ではそこそこのおしゃべりに豹変されるエヴァンズ様。今はミカリーナが口を開くたびに助けを求めるようにエヴァンズ様も喋りだします。


「エヴァンズ様と離れるなんて私耐えられません。窮地の時にこんなにそばで見守ってくださっているエヴァンズ様が離れてしまわれるなんて。あぁ、愛しのエヴァンズ様、私と結婚してくださいまし」



……………ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!



「……………ジョージア様、触っていなくてもこうなってしまいましたがもちろん責任はとって頂けるんですよね?」


エヴァンズ様がおぞましいようなものを見る目でミカリーナに目を向けた後、ジョージア様に抗議されております。


まぁ、私でもこんな状態になってしまったら抗議はしますが、これはジョージ様のせいではないと思います……



「責任なんて取らん!衛兵、この女にも猿轡をし、連行してくれ」


「はっ!」


エヴァンズ様がずっと握っていらっしゃったミカリーナの綱を衛兵の方に渡し、逃げるようにジョージ様の近くにいらっしゃいました。


そして、指示通り猿轡をしたミカリーナとダレン様、拘束のみのお父様、お義母様、そしてクワッド夫妻が連行されていきました。

猿轡をしても必死になにかを訴えようとする二人ですが、なにを言っているかわからないというのは今回に限りとても気持ちのいいものでした。


「ジョージ様、エヴァンズ様、この度は大変申し訳ございません。そして本当にありがとうございました。」


私はスカートの裾を持ち上げ、膝を落とし、感謝の気持ちをお二人にお伝えしました。

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