胸のつかえ…
「まぁ、温かい言葉をありがとうございます。それではお言葉に甘えまして……
ダレン様って一度頭の病院に通われてはいかがですか。もしかしたらナメクジか何かが頭の中に巣くっていて大事な部分を溶かしてしまっているのかもしれませんわ」
「…………は?…………」
私の言葉を聞き周りのご婦人方がくすくすと扇で口元を隠しながら笑っています。男性は肩を震わせて必死にこらえている様子が目に入りますの。
「私が指摘させて頂くと、いつも斜めどころかまるで反対から見ているかのように全く違う解釈をされてしまうでしょう?私いつかお薦めせねばと思っていましたの。最後の機会になりますのでお伝えすることができ、これで私の胸のつかえもなくなりますのでよかったですわ。これも発言を許していただいたお陰。感謝申し上げますわ」
それを聞き真っ赤な顔で羞恥に耐えるようなダレン様。
しかし誰もそれを庇うような方はおりませんでした。
少なからず皆様同じような事を思っていらっしゃったのかもしれませんね。
「ま、待ってくれ、シャロン嬢」
振り向くと唖然としていたはずのダレン様のお父様、クワッド伯爵でした。
「む、息子が勝手なことをしてすまなかった。
も、もうこのようなことは二度とさせない。
わ、、私たちもしっかりと監視すると誓う!なので、今回だけは許してもらえないだろうか」
なにをおっしゃっているのでしょうか。
ちょっと理解に苦しんでしまいます。。
「あの、許すも何も、特段怒ってはおりませんが?」
本当にその一言しか思いつけなかったのです。
「ほ、本当か?では、今まで通り支援も「あぁ、そういえば、クワッド伯爵にご援助しておりましたお金ですが、もう私とは一切関りがございませんのでご返済をお願いしますね。すぐにでも。と言いたいところですが、すぐには厳しいかと思いますので3か月以内でのご返済をお願い致します。また、今回ダレン様とミカリーナの不貞行為においての婚約破棄を一方的に申し付けられましたので、その慰謝料も合わせてご請求させていただきますのでよろしくお願い致します。そして、本日の挙式代。身分に合わぬほどのドレスに装飾品、侯爵家にて立て替えてしまうと返済頂けるか疑問に思ってしまった為、伯爵家でのお支払いをお願いしております。当家とは全く関わりのないものではございましたが、侯爵家にて開催とのことでしたので飲食代は侯爵家からのお祝いとして負担しておりますのでそちらはお気になさらずに。何せおめでたい席ですので」そ、そんな………」
クワッド伯爵はそう小さい声で呟き、顔が白くなっていらっしゃいます。
まさかこんなことになっているのに今まで通り支援をしろだなんて夢にもおっしゃいませんわよね…
「まぁ、そんな意地悪なことをおっしゃらずにこれからも仲良くしたらいいじゃない。シャロンさんだけでこの屋敷の管理をするなんて大変でしょう?ダレンにしっかりとこれからは仕事をさせるわ。ね?これからも一緒に暮らしてくれるわよね?」
今まで一言も発しなかったダレン様のお母様が堂々とこちらに歩み寄られながらそんなことをおっしゃるの。
周りの方々の顔をご覧になったら如何かしら。まるで宇宙人でも見るようなお顔になってしまわれていますわ。
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