第33話 うめき声

 六月のある日。

 実は今日、近くの港で花火大会が行われる。今日は学校が休みなので、直接声をかけることも出来ず……(学校があっても声は掛けられないと思うけど)。


「あぁぁぁ……どうしよ!誘ってもいいのかな?!」


 僕は自室のベッドの上でぐるぐるぐるぐると右へ左へ回転する。

 だって花火大会に誘うって、もうデートみたいなもんじゃん!そんなことにしたら好意バレバレで、距離を置かれるかもしれない。

 ただでさえ、修学旅行でやらかした僕に嫌気を指しているだろう。そんな僕に誘われて果たして喜ぶだろうか?いや喜ばない。


「なんで……やらかしたんだ僕……」


 今になって修学旅行の愚行を再び後悔する。

 三日目に謝ったはいいものの、許すという返事をもらったわけではない。だって逃げられたもん。

 ダメだ、どうしてもネガティブに考えがいってしまう。


「うぐぅぅぅう……!!!」


 僕は悔しさのあまり気色の悪いうめき声を上げた。

 今年も部屋から花火を眺めることになりそうだ。

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