100話後に付き合う男女

澄崎そうえい

第1話 消しゴム

 僕の名前は遠山春斗とおやま はると。どこにでもいる高校2年生だ。

 突然だが、僕には好きな人がいる。別に高身長イケメンじゃないし、女の子にモテるわけでもない僕だが、ずっと片想いをしている女の子がいる。


「遠山くん、消しゴム落ちたよ」

「えっ?」


 授業中に頭の中でそんな一人語りしていた僕は、消しゴムを落としたことに気付かず、隣の席の女子に指摘された。

 彼女の名前は沖矢千聖おきや ちさとさん。肩くらいまである艶やかな黒髪に、クリッとした瞳。清潔感のある身だしなみが特徴の可憐な女の子だ。

 すると沖矢さんは、椅子に尻をつけたまま屈むと、僕の落とした消しゴムを拾い上げ、僕に差し出した。


「はいこれ」


 屈託のない笑みで渡してくる沖矢さん。そんな彼女の可憐さを目の当たりにした僕は、


「あ、ありがとう……」


 若干の緊張をしつつ消しゴムを受け取った。


「うんっ!」


 僕の感謝を聞いた沖矢さんは、可愛らしい笑顔を作って見せた。

 そんな彼女に僕はずっと片想いをしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る