なんか流行ってるらしいからパーティーから追放してくれって頼んだら追放してくれたけど無職になっただけだった

新たなる悪！コンナヤッツァ・オランディ！

「装備品を買いに行く装備がないって話を笑ってたけど、まさかコミュ力を上げるためのコミュ力が無い自分に気づくとはね」

「物事を完全なゼロから始めるのは難しいということですね」

「そういうことだね」

「そういうことにならんでくれよ」

　相変わらず、ノミオスの酒場である。

　第一歩を踏み出すために助走をつけようとするも、それすら出来ないというのは往々にして存在する。

　イタリアの脳科学者コンナヤッツァ・オランディはこう語る。

『人間というのは新しいことを始めたい生き物であると同時に、諦める理由を探す生き物である』

　新しく物事を始めることは生存能力の獲得のために大いに役立つ。

　しかし新しく物事を始めれば何かしらのリスクを抱える可能性が高いため、良くも悪くも現状が安定しているのならば、現状維持に努めようとする。

　ゆえに、人間は本能的に諦める理由を探して現状を維持させようとするのである。

　イタリアの人気脳科学者コンナヤッツァ・オランディは『本能的な問題であるが故に完全な解決は難しいが、ハードルを下げることは出来る』と言って、このような解決策を提示している。

『右に進む道を左に進む、普段頼んだことのないメニューを頼む、目を閉じて家の中を歩く、そのような小規模の積み重ねは、人間を未知に慣らさせて挑戦を促す』

　そんなイタリアの超人気脳科学者コンナヤッツァ・オランディは、日本では無名の学者であるが、本国では高い評価を受けており、論文も多数発表している。

　今回は、彼がオンラインサロンでのみ教える最高の脳トレを紹介したい。

　1.まずメールアドレスを取得する（ヤフーやGoogleなどで構わない）

　2.https://kakuyomu.jp/というサイトにアカウント登録する

　3.春海水亭という作者の作品を片っ端から読む

　4.★で称えるという項目の+ボタンを3回押す

　5.話の最後の♡応援するボタンをクリックする

　如何だろうか。

　脳が刺激されたのを感じただろう。

　さらに喜びの声が届いている。

　脳が刺激されて、テストで全教科満点取れました　Aさん(17歳 男性)

　脳が刺激されて、顔が引き締まり、老若男女にモテまくりです　Bさん(26歳 男性)

　脳が刺激されて、宝くじの全ての当たりを手中に収めました　Cさん(32歳 女性)

　脳が刺激されて、上司を爆破させる超能力に目覚めました　Dさん(28歳 女性)

　※個人の感想です。実際の効果を保証するものではありません

　※喜びの声が届いているというのは表現の一つであり、物理的、電子的な実在性を保証するものではありません

　さらに、イタリアの人気脳科学者兼オンラインサロン主宰者コンナヤッツァ・オランディは月額5000円のオンラインサロン内において、こう語っている。

『誰にも公開していない……というより教えたくないような情報がある。自動車のようなものだ、世界で一人だけが使えればこれ以上に快適なものはないが、皆が使うために渋滞が発生する。そんな特別な情報を月額50000円の特別会員だけに公開しよう』

　コンナヤッツァ・オランディが教える極秘情報の一部を公開する。

『カクヨムのアカウントを取得すれば、フォロー機能が使えるようになる。作品フォローを行うと、その作品の最新話が投稿された際にカクヨムの右上のベルのようなマークに通知が来る。また、作者フォローを行った場合、その作者の最新作（既存作品の最新話の投稿ではない）が投稿された際に、やはり右上のベルのようなマークへと通知が来る」

　その後、春海水亭は短編が中心の人間なので作者フォローをしておくと最新作を逃さずにお得であると述べている。

　また、最新話通知はその作品の最新話まで読んでいる必要があるので、うっかり読み忘れた作品があると、通知を逃し続けることになる、とも。

　そして、メールで来る通知は最新話まで読んでなくとも届くとも語っている。

　さらに、春海水亭作品をフォローすることで脳に凄い良い影響を与えるとの論文を執筆することを検討中とのことである。

　ファンが急激に先鋭化していったイタリアの人気脳科学者兼オンラインサロン主宰者兼オンラインビジネスコンダクター、コンナヤッツァ・オランディは女性限定オンライン講義でこう語っている。

『春海水亭作品を貴方達に紹介した礼金を貴方達から頂きたい、その代わりに貴方達も友人や知人に紹介することで、礼金を頂けばいい。そして貴方達が受け取った礼金の中から更に私に礼金を渡し、貴方達も同じことをすればいい。これは貴方達だけに教える特別情報だ、そうすれば絶対に儲かる』

　この発言に関し、コンナヤッツァ・オランディはねずみ講のつもりではなかった、全く新しい形のビジネスを行うつもりであったと法廷で語っている。

　これほどわかりやすい形ならば、読者の皆様もこんな奴に騙される人間はいないだろ、と笑うことも出来るだろう。

　しかし、騙しの出口は日々巧妙になっており、皆様が必ずしも詐欺被害者にならないとは言えないのだ。

　お気づきだろうか。

　皆様は前話の続きと見せかけた、全く関係ない話を読まされているのだ。