opening
プロローグ
————波の音が、聞こえる。
寄せる波は岩に割かれ、二つの波は交わる事なく浜へと進んでいく。
水面には月明かりが差し込み、空に向けて橋のように白が伸びていて。
それが繋がることはなく、決して埋まることの無い夜闇の隔たりが。
されど少女はそれを気に留めることもなく、真っ直ぐと天高く昇るそれを見つめていて。
夜の空に、艶やかな紫檀色の、赤紫が靡く。
色褪せた書物を片手、その深い赤き瞳に淡く輝く満月を写し込む。
"満月の晩、共に生きて、共に歩み、共に終わりを迎えましょう"
いつの日か交わした大切で、掛け替えの無い約束。
今もまだ忘れる事なく、幾度と無く足を運ぶ。
どれだけの時を待ち焦がれただろう。
どれ程あの子を想い続けただろう。
数千年、未だその約束は果たされず。
それでも彼女はただ一つの契りを守るためにその場所を訪れ続ける。
時は移ろい、流れるように世界は姿を変えてきた。
それでもこの月は、想いは、願いは変わる事なく在り続ける。
彼女がその胸に宿す、心もまた同じように。
これは幾星霜越えて紡がれた願いの————約束の物語。
ダブルクロス the 3rd Edition
『神話庭園 the novel』
貴方との約束を、絶対に忘れない─────
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