28話 裕子の想い

28.裕子の想い


《裕子》

こんなに早く夢が叶うとは思っていなかった。


幸せ過ぎて、かえって怖いくらい。


克己が彩を過去の人にするまで、何年もかかるだろうと思っていた。


それまで離れない、ずーっと傍にいる と覚悟していた。


彩と近藤が2人でいる所に偶然出くわしたことがきっかけだった。


あの時の 近藤の得意げな相手を何とも思わない言葉と態度。


高谷の落ち込みは見ていてかわいそうだった。


本当に慰めてあげたかった。


それから、克己の態度が急変した。


今まではお友達程度の親しい関係が、よく私を見つめている、恥ずかしくて、顔を上げることができない、ときどき目があうのでニッコリすると

頷いてくれ、何かあると私の席に来てくれる。


2人がひとつになった次の日、だめもとでお弁当を2つ作ったら、初めてお昼に誘われた。


お弁当の話をしたら、一緒に食べてくれ、出張から帰ったら話があると言われた。

どきどきした、出張から帰ってくるのがとても長く感じた。


克己が空港からまっすぐマンションに来てくれて時はとてもうれしかった。


そしてプロポーズしてくれた時、胸がいっぱいで涙があふれて止まらなかった。


平常心を保とうと一生懸命答えたら思いっきり抱きしめてくれた。


あの時の事は一生忘れない。


それからは毎日が幸せで、とても楽しくて、こんな経験は生まれて初めてだった。


大好きな克己さん、何をするにも克己さんはやさしい。私の事を思いやってくれる。

私は誠意をもって答える。


克己との結婚式、私が新入社員で配属され親切にしてくれたいい人、好きになって、失恋した人、それからも噂で結婚生活の話を聞くとますます憧れてたあの人との生活。


それが実現した。


彩さんには申し訳ないけど、彩さんが浮気して離婚してくれ、不倫して思いが断ち切れたおかげ。


私はこの幸せは絶対離さない、裏切らない、一生愛し続ける。




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