第17章、新たな出会い。
長いようで短い一日が過ぎて二人は、早々に教室を出た。
不良たちに会わないようにするためだ。
登校の時と同じように、修一の誘導で学校の門へと急いだ。
「ここまでくれば大丈夫」
修一がそう言った瞬間背後から、
「カモが二人そろっているぜ」
あの不良達の声がした。
「やばい、見つかった、逃げよう」
久しぶりの登校日一日目というのに相当な危機的状況だ。
「浩太君走れ、逃げるんだ」
修一はそう言うと浩太の手を取り走り、逃げようとした時反対方向からまるで二人の行く方を阻むように一人の不良がまた現れた。
「しまった、はさまれた、逃げられないどうしよう」
二人は恐怖のどん底に突き落とされたような感じがした。
しかし、新たに現れた人影は不良グループの一人だと思ったが、なにやら雰囲気が違うようだ。
恐怖で怯えている二人を挟んでなにやら会話が始まった。
「よお、新田、久しぶりだな」
「おう、久しぶりだな」
「その獲物こっちが先に見つけたんだ。
おめーには関係ない事だからつべこべ言わずこっちに渡すか、黙ってこのままここから立ち去れ」
「そうはいかねえな。
こんな面白そうなシチエーションそうそうねえもんな。
それよりおめェら、まだ弱いもの見つけてゲームでも楽しんでいるのか。
だったら丁度この俺も退屈してたんでな、そんな弱っちいやつ相手にしても面白くねえだろ。
なんだったら俺が相手にしてやろうか」
「くっそ、いい気になるなよ。
今日の所は引き下がってやるよ。
今度あったら覚えとけ」
そういうと不良達はそそくさと立ち去っていった。
浩太は思いだした。
このたちの悪い不良グループとは別に、誰ともつるまない一匹オオカミとして不良グループに恐れられている人がいることを。
たしか名前を新田竜司という名前だったような。
新田はなにも言わず、その場から立ち去ろうとした。
浩太は思わず話しかけた。
「まってよ新田君でしょ、新田竜司君でしょ」
「そうだけど」
「助けてくれてありがとう」
「別に助けたつもりねーよ。
たまたま、通りかかったらなにやら騒いでいたんで面白そうだなと思ってのぞいて見ただけだ。
それより、おめー今井浩太とか言ったな」
「僕の名前知っているの」
「そりゃ知らない方がおかしい。
なにせ、やつらに絡まれているし、おまけにぼこられて自殺未遂までしたんだもんな。
そんなんでよくまた、学校にこようと思ったな」
「そこまで知っているだ」
「あたりめーだ、ある意味、おめー有名人だからな。
それよりなぜやつらににらまれるようになったんだ」
「実は以前修一君がいじめられていて、それを助けようとして逆に僕が目を付けられるようになったんだ」
「ふーん、おめー、学校にくればまたやられるのわかってただろ。
変わった奴だな、でもおめーみたいな奴が何人いても絶対やつらになんかかてねーぞ。
これからどうすんだ」
「うーん、また逃げるよ」
「お前、あほだな。
よし、気いった。
こんどからまれそうになったら一緒に逃げるのではなくばらばらににげろ。
そして、逃げ切ったほうが俺に連絡しろ。
わかったな、必ず俺が助けてやる、いいな」
「ありがとう、でもそれじゃ」
「それも、くそも、ねーよ。
俺が助けてやるつーたら助けてやるんだよ。
いいな」
「うん」
「じゃあな」
「ありがとう、じゃあね」
「助かったね」
「心強い味方が出来たね。
じゃあ明日ね」
「じゃあ、また」
「浩太」
誰もいなくなったところでかかしが話しかけた。
「なあにかかしさん」
「新田てどんな人なんだ」
「詳しくは知らないけど、以前空手をやっていて優勝がかかった大事な試合の前に、やつらに因縁つけられて怪我をさせられ、試合に出られなかったんだ。
結局チーム優勝できなくて、責任を感じて空手をやめ、それから不良グループの天敵のような立場をとっている様なんだ」
「そうか、でも今日みたいに運のいい事何度もないと思うよ。
今後の事、どうするかちゃんと考えないと」
浩太は、頭を抱えておどけて答えた。
「うーん、まァ、どうちまチョ!、なんとかなるでチョ!」
「おめー、能天気だな」
かかしは呆れた声でいった。
次回、第18章、不良達の新しいターゲット探し
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