第15章、新しい朝

「浩太、起きろよ浩太、朝だぞ」


「えっ、何だよかかしさん。

まだこんな時間じゃないか。

いくらなんでもちょっと早すぎるよ。

まあいいや」


「ごめん、ごめん。

オイラの方が興奮しちゃって、早く起きちゃったようだ」


「えっ、かかしさんて、夜、寝るの」


「そりゃそうさ、浩太が寝るとき一緒に寝るんだよ」


「へー、僕と一緒に寝てるだなんて考えもしなかったよ。

それよりせっかくだから学校に行く前にすこし散歩しようか」


外にでて、少し肌寒い澄んだ空気を思いっきり吸い込んであたりを見渡すと、ジョギングをしている人、牛乳や新聞を配達している人、犬を散歩させてる人、いろんな人が歩いている。


よく考えてみれば、今までこんなに朝早く外を歩いたことがなかった。

見慣れない朝の光景は、なにもかもが新鮮に見えた。


「いいね、朝早い外の景色は、生きてるって実感できるね。

今日一日頑張ろうって気持になるよ」


その時後ろから、優しい声で浩太の名前を呼ぶ声がした。


「浩太、おはよう。

どうしたんだ?

こんな朝はやくから」


浩太の父親だった。


「おはよう、おとうさん。

実は昨日の夜、僕よりかかしさんの方が興奮したみたいで早く起こされて、それで、せっかくだから外を散歩してみようと思って。

それよりお父さんはどうしてこんなに早く起きたの」


父親は照れながら、

「うん、実は昨日浩太が学校に行くっていってたから、お父さんも興奮して早く目がさめたんだ。

そしたら浩太が外に出て行く姿が見えたんで声を掛けようと思って、外にでてきたのさ。

こんなに早く外に出たの久しぶりだけど、とても気持ちがいいもんだな。

こんなに気持ちがいいんだったら時々今日みたいに早起きして散歩してみるか」


「賛成、僕もつきあうよ」


「なあ、浩太。

お父さんのお兄さん、つまり本当の浩太のお父さんの事だけど、どんな仕事をしていたか覚えているかい」


浩太はしばらく考えて、


「んー、よく覚えていない」


「そうだよな、お父さんも兄貴のこと、つまり浩太の本当のお父さんの事、浩太が思い出すと可哀そうだから、なにも話してなかったもんな。

実は、精神科のカウンセラーという仕事をしていたんだ。

実は兄さんも、子供のころよくいじめられていてそれで大きくなったら、いろんな事で悩んでいる人や困っている人を助けることができる仕事がしたいっていて大人になって、精神科のカウンセラーという仕事を選んだんだ。

昨日浩太は、いじめられたりいろんなことで悩んでいる人を助けることが出来るようになりたいっていっていたよな。

やはり、親子だなと思ったよ。

浩太なら、兄さんみたいなりっぱな精神科のカウンセラーになれると思うよ。

お父さん応援しているからな」


「うん、ありがとう」


「さあ、そろそろ戻って、ご飯を食べよう」

次回、第16章 友達との再会

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