第4話

━トントントン


包丁の音がして…いい匂いがしてきた。


宇宙そらーご飯よ」


「…タケノコなんてすごいな~」


「そう 堀り立てだから美味しいわよ。さっき今井さんとこのおじさんにもらってね。」


「ほお 」お父さんは酒を呑みながら、タケノコ焼きを美味しそうに食べている。

「ほんとにアクはないね 旨いな」


“なんだ…お化けじゃなかったんだ”

いつもの食卓に僕は少しだけ安心した。


━━今日茨…県…やさ…町で若い女性と見られる腕が見つか…発見者は…で…警察は殺人事件として捜査し…


“ぐぇっ ”


「はぁはぁはぁ… 」

僕は肩で息をしていた。


「あら、近いのねぇ…あのふもとの町あたり?嫌だわ」

「怖いな…」

お父さんもお母さんも箸が止まった。


「ごちそうさま…」

「あれ?もういい…か…だから」お母さんの声は最後まで聞こえなかった。


急いで部屋に戻ると…ベッドにもぐった。押し入れの暗闇の中で触ったあれは…絶対死体だ。裸の女の人の下半身と首だ…思い出してまた震えてきた。

そういえば、庭に掘ってた穴


“まさか!埋めるんじゃないのか?そうだ!絶対”


“行方不明のお母さんを見つけ出してきて、だからバラバラにして…明日庭に埋めるんだ!ヤバいよ……。”


“こういうときはどうするんだろう…。

みんなどうするんだろう…。

警察に言うのか…。

…明日、お母さんに…聞いてみよう。”









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