29
窓辺の椅子に腰掛けて、ぼんやりと外を眺めている君。
虚ろな目でも口元は微笑んで。
窓の外に広がるのは穏やかな世界。
まるでよく晴れた日曜日。
君は王様。
ただ抱き締める腕が欲しかったんだ。
寒い背中を包み込む君の腕があれば、僕は無敵になれるよ。
僕に足りないもの。
ただ僕を抱き締めて。
君を連れ戻すことは、本当に君の為になる?
君の微笑みを引き換えにして?
例え窓の外に何も見えないとしても。
素敵な冠を掲げ臣下の人形を抱いている君。
その国にいる限り、君は幸福。
君はずっと王様であればいい。
忘れたことはなかったこと。
忘れたことは知らないこと。
僕は全て満たされて、失うものも何もない。
僕も君の傍にいたいけれど、僕は此処にいよう。
君をその国から連れ出そうとする敵から、
味方の振りをして君からいろんなものを取り上げようとする敵から、
勝手に君の幸福を語って君を押し潰そうとする敵から、
君の国と君を守る番人になる。
君の国の入り口で。
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