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透き通る水を見ると、呼吸が止まりそうになる。
荒い砂を転がす波。
不安になる程透明な、青い碧い海。
その水は冷た過ぎて、手を浸すことも躊躇われる。
強い陽射し。白い景色。温い風。
だけどそこは冬の海。
透き通る水は氷の冷たさ。
眺めているだけ。
触れられない楽園。
触れられない夏休み。
砂浜に映る僕の影が、日に焼けてゆく。
白く焼け付く思い出。
瞼の裏に。
温い風に吹かれて、鼓動は治まらない。
深く深く、空を吸い込んで、ゆっくり目を閉じて、目を開いて。
見つめる海へ、透き通る水へ、冷たい波へ。
呼吸と引き換えに駈けてゆく。
笑いながら、抱き締めにゆく。
これが僕の夏休み。
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