中二病継続中の二十歳前後に書いてた詩。

石井 行

1

 この世には絶対なんてありえないのに、人はよく「絶対」という言葉を口にするよね。

 誰もが変わりたくはないのに、誰もが変わることは必然なんだ。

 おいしく香るお茶を飲みながら、陽の穏やかに当たる窓辺で、いとおしいもの達のことを想っていたいだけ。


 海の底に眠るもうひとりの僕。重い魂。浮かんでこない。


 ねぇ、本当はしあわせで平和な毎日なんていらないんでしょう?

 なにもかも壊してしまいたいんでしょう?


 空が青い。月が綺麗。海が眩しい。砂浜が熱い。風が懐かしい。

 世界中の全てのものに、見覚えがある。

 いつかの僕が、何処かで触れていた。

 樹木の緑。建物の陰。光の熱。水の重さ。心の波。


 いつの間にか、夏が終わってしまっていた。

 駅までの遊歩道には、微かに金木犀の香り。

 日常と並行した世界の中で、僕は何かを成し得たか?

 憧れ、怖れていた眩しい夏は、訪れなかったのか?

 あの日の僕は、まだあの海辺で遥か遠くの水平線を眺めている。

 船が、通ったかもしれない。

 空は、恐ろしく青かった。

 きっと終わりの日は、こんなだろう。

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