第7話 ドワーフとピザのご先祖様
ギターの音でもなり出しそうな リズミカルな手つきで厚切りのベーコンを火にかけると
ジュージューと熟成をした深い音をたてだした。
「これも食べてくれよ」とトルティーヤのような カレーのナンを小さくしたような小麦を練って焼いたものが出てきた。
これを軽く火にあぶり 少しバリっと焼き目をつけたところで「好きな ディップをつけてくれ」とディップという 日本で言えば味噌のような 食材のジャムを出してくれる。
リザリアは ディップを一口ほおばると早速気付いたように
「これをつけて食べればいいのね。あら もしかしてナスビとひき肉?」
「よくわかったね 可愛いお嬢さん。この辺りはナスビがよく取れるのさ。そうだ トマトの方も試してみなよ がはは」
ナスビやトマトをジャム状に加工して作られたディップも美味しかったし俺たちの缶詰もビッツたちは喜んでくれた。
「あ~、だけど 酒が飲みてぇな・・」とせっかく美味しい物を食べたのに残念そうにうなだれる。
昨日で大好きなお酒を飲み干してしまったらしく明日にでも村まで買いに行こうと話をしていたと言うことだった。
酒か?酒と言えば
そう言えば「ウオークの酒」があったはず、持ってこようとcabin02を見るとすでにリザリアがパッチリお目目をパチパチさせてニッコリと箱ごとお酒を抱えてやってきた。
「ひゃっほぉぉーい!!」と喜んだドワーフたち、「ウオークの酒はこのじゃ 造られてねぇ酒だぜ。やるじゃねぇか がはは」と北の寒い方で造られているお酒で、意外と珍しい物だと教えてくれた。
夜も更けて 焚火の炎に照らされながら踊るリザリアとそれを囲んで踊るドワーフはまるでお姫様と小人たちに見えて笑ってしまう。
酔いも回って来て シメが食べたい!
あることを思いついた。
いつも食べているよくあるもの。
ナンのような小麦の生地に、トマトのディップ、それにベーコンを乗せてから、cabin02に搭載されている天然粉チーズを投入すると ピザの出来上がり!!
早速みんなにもご馳走することにした。
「何だい?兄ちゃんは変わった食べ方をするじゃねぇか」
「これはチーズかしら?」
・・・
・・
「こんな美味しい、食べ方があったのか!ひゃっほぉぉーい!!」
「チーズが伸びて楽しいわ」
そして ガブリとかぶりつくとお姫様と小人たちはクルリ、クルリと再び踊り出す。
焚火をグルグルまわるオルゴール人形のようだった。
踊り疲れたリザリアが俺の隣に座って 満足げにささやいてきた。
「さっきは 助けてくれたのよね?ありがとう」
あのときはリザリアだけでも 助けたいと思った。というか感じた。これが俺の気持ちなのかな?
「でも 恥ずかしいよ。初対面が苦手じゃなかったら何とかなったはずだ」
焚火の炎に照らされるリザリアは微笑む
「私たちは初対面の相手は苦手だけど きっかけさえあれば仲良くなれるのよね」
何の告白にやってきたのか? 再びビッツたちのところで踊りに行ってしまった。
そうして 「楽しかったぜ」とドワーフたちは帰っていったけどお酒のお礼に鉱山で採掘されている鉱石の入った革袋をくれた。
「こんなに?」
「・・・気にするな がはは」
ミスリルこそ入っていなかったけど 銀や宝石のような原石も入っていてた。
さすがに気が引けてしまったが豪快な性格のわりビッツは「・・・な人生は一度しかない。楽しかったぜ」みたいなことを言い出して 今日の宴の事をとても感謝しながら満足しているようだった。
よかった。
でも 飲んだり踊ったりすれば汗もかくし煙も浴びる。
そこで天女様は水浴びをしたくなったらしく「ここから少し行ったところに湖があるらしいのよ。村に行く前に寄りたいわ」と言ってきた。
だけど cabin02があれば数日に一度しかお風呂に入れない生活とはおさらばさ
「今すぐ水浴びできるぜ。cabin02には シャワーが搭載されている!」
「シャワー??」
キャンピングカーの後ろのベッドのパーツを組み替えて専用ボードを差し込むとたちまちシャワールームの出来上がり。
リザリアだって 水浴びよりも温水が出る方がいいだろう。
初めは恐る恐るのリザリアだったけど シャワーを使い始めると温水の心地よさに体を馴染ませ、シャワーの水量を増やしたかと思えば 鼻歌を歌いだすようになった。
シャワールームの中は 簡単に想像できるけど聞こえてくるシャワーの音と楽し気な鼻歌だけで胸がいっぱいだ。
そこで自分のテントを張ることにした。
cabin02の後ろには スペアータイヤ型のテントがあってサイコロのような多面体のテントを 一瞬で作ることが出来る。
テントのボタンを押すとガシャン! ガシャン! プシューと3ステップで風船のように膨らんだ。
あとは テントを固定して・・っとよし!出来上がり。
深夜も深まったころに
テントを照らす月明かりに ツインテールの影が見えた気がする。
まあ 眠かったので気のせいだと思う・・グ~グ~・・。
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