それから

 出勤の朝、今日は揃って遅番の私たち。

寮を出た私に続きすぐ、隣の部屋から亮さんも出てきた。寮からの道、亮さんが私の手をつなぐ。


「えー!えーっ!」

「うるせっ田中」

「そゆこと?そゆことなんすね?」

超ハイテンションの田中。私は手をもじもじして外そうにも亮さんは許してくれない。


そのまま3人で出勤した。

「やめろって、気持ちわりぃな やめろって」

田中はふざけて亮さんと手をつなごうとする。

もつれながら3人は、職場についた。


仕事中は相変わらずビシバシの亮さん。それがまた素敵です。


「真由帰るぞ」

「あっはい」

「今日何食べたい?」

「んーと」

「真由に聞いたのが間違いか」


 亮さんの部屋でソワソワする私。

「真由はいつから俺が好きだった?」

えっ。そんなこと聞く......いつといわれれば初めから

「はじめからです」

「フッ俺と一緒か」

え?そうなんだ!

「真由がさ、入社して挨拶した時、緊張しすぎてかみまくりで。それから仕事中楽しかったな、いじくるの」

「亮さん!そんな風に....」

「ずっと居ような。真由」

きゃーっ。

こんなに亮さんに抱きしめらると、しびれで、とろけて、毎度涙が滲む私。

亮さんに包まれて私は平成からもう二度と出たくないとおもった。

あの不思議な出来事は何なんだろう。


+++


ぼっちが退院した。

私達はぼっちと3人で浅草へ行った。

話が止まらない。


「二人が恋人になって良かった〜。まっ僕だって真由ちゃん大好きぼっちだったんだけどね。亮より先に目覚めればよかったわ」

「私が居なくなってから、大騒ぎだった?」

「そりゃぁ僕もだけど、亮がね」

「俺少し記憶があったから、病院とか探したよ。なかったけど。」


浅草のお寺を見上げて私は思う。

きっとばあちゃんが、事故で危ない私たちを守ってくれたんだ。そして私のむず痒い恋もかなえてくれたのかな......。


ばあちゃんの正一さんとの物語の代わりに私は亮さんと恋を実らせたのかもしれない。


『あんたは好いた人と一緒になれますように』って。


+++


さらにさらに時が経ちました


「あ ぼっち来てくれたの?」

私は病院に入院中。


「うん。おめでとう真由ちゃん。よかったね!男の子?亮も大喜びだな」

「うん。達也っていうの」

「たっちゃんか」

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