第2話

最近あなたの視線をよく感じてた


そう言われて、初めて恥ずかしさを覚えた。

これじゃあまるで、ストーカーみたいな怪しいやつだ。

いたたまれなくて目を合わせられなくなる。頭を垂れたら、もう消えてしまいたいほどのむなしさしかない。


「あの、すいませんでした。ご迷惑をおかけしました。もう二度とあなたの前に現れません。さようなら」


早口で捲し立てる姿もさぞかし滑稽だろう。笑って、すぐにでも忘れてくれ。永遠に。


「嘘が下手ね」

かろやかな匂いが近づいてくる。

「私のこと、興味があるって素直にいって欲しかったな。そうしたら、私の許せる範囲で教えてあげることが出来るし、あなたと過ごせるのに」


うつくしいその人は、少し困ったように笑った。

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