第27話 閉じられぬ絵本

「これがその本です」摩子がテーブルの上に置く

「あるページを開くと吸い込まれます」

「魔術的なものなら私でも解けるかもしれないので」

「中に入ってきます」

「中に入るってでれるかもわからないのに?」

「そこは美穂さんを信じます」

「外から結界切ってください」

そう言って摩子がページを開くと

吸い込まれていった

そのページはショッピングモールだった

吸い込まれたものがどうなっているのかはわからない

ただ摩子が中央で魔法の棒を持って立っている

その姿は確認できた


このページ閉じぬこと、と大きく書いて絵本に貼り付ける

私は、けっかいのあり方などどいう初歩の本を開いて

はしから読みふけっていた

小さくてでかい封じ結界だろう

失敗は許されないだから初歩から読み漁った

過去の事例も探してみた

何件か同じような事例はあるらしい

マーカーを引き何冊か本を積み

開いたままの絵本も車に積み込む

暁子が帰ってくるまでまだすこしあるだろう

逃がさないようにメールをいれておく

「輝ちょっとでかけるよー」

「おもちゃ持って車に乗ってー」

子供というものは駄目だといわれると

やってみたくなるらしい

運転してバックミラーから後ろを見ると

輝が乗っていない

急ぎ暁子のマンションに車をつける

入れないようにふさいどいて

本をあさる

ショッピングモールは朝の風景と違っていた

摩子が見当たらない輝もでもいるはずどこかに

この場で消えたとなると本を閉じてひらいたとしか

考えられない落ち着いて人一人を見ていく

あ、いたお店の中何か食べている

おそらく摩子と輝だ摩子が見つけてくれてるなら

とりあえずとりみだすことはない

落ち着いて落ち着いて自分にいい聞かせる


プップーッ

「人の駐車場の前塞いで、何してんのよ!!」

と暁子さんの声

「逃がさないように待ってたのよ」

「助けてお願いします」頭を下げる

「まず話を聞いた方がよさそうね」

「部屋に行くわよ」

部屋にはいっていく居間にすわる

「まずこの絵本が問題の絵本なの」

「まってお茶入れるから急いでも状況は変らないわよ」

「ごめん」

「本ってことはそれに閉じ込められてるの?」

「うん」

じゃあしばらく話はまってもう一人呼ぶから

「桜井さんのお宅ですが清美さんお願いします」

「結界師の仕事が来ているんですが少々厄介で

ご足労願えますか?」

「はい私のうちでいいです」

「暁子さんでも厄介なレベル?」

「おそらくね。B区で今結界師NO1呼んだから」

「中と外から切ればおそらく口が開くと思う」


私が口をひらく

「いくつか事例を探してみたの」

「この汽車に乗る人々の油絵」

「なんかはすごく類似していると思うのだけど」

「これも外と中から干渉してるのよね」

「で出来る限り外からの干渉で助けた事例を探すと」

「これ、お人形の絵本」

「以前文子ちゃんが文字を引きずり出した件に類似するのだけど」

「何人いるかもしれない犠牲者を闇雲に引きずりだしてもね」と暁子

「もう一冊同じ本があれば救うべき人もわかるけど…」

「本屋にあるかな?」「清美さん来るのまとう」

清美さんたる人は名前は聞いたことがないが合えば見知った人だった

随分前駆け出しの頃助けてくれたことがある人だった

B区地区の防御の要となる人で攻撃も心得がある器用な人だ

同じ地区にいても基本は詮索しないので何処の誰だかわからない

珍しいことではないのだが人嫌いの暁子さんが知り合ってるのが

なんとなく不思議だった

「度々その節はお世話になっております。

一応B地区のメッセンジャー勤めている美穂です」と頭下げる

「結界に関したら私の非じゃないわよ。お師匠さんになります」


「暁子さんを更正した人なわけだ」

「なによ、その更正って」

「だってそうでしょう?そのまま大人になってたら殺し屋とか

なっていかねないじゃない。暁子さんの過去を知る限り

だれか更正した人がいると思ってた。」

「ふん。確かに教わったわよ人がどんなに愚かで弱いものか

人がどんなに真っ直ぐで暖かいものか」

「んー暁ちゃんやっぱり中入ってきた方がいい感じ。」

あ、私達がくだらないいい合いをしている間に

資料に目を通したのか

「私入って結界切るから外からも結界切って」

「わかりました。どのようにきりましょうか」

「左下から右上へ同じ方向で切ってみて

なんの反応も無かったら右下から左下に十字に切ってみて」

「それから場所変えましょうでかい公園がいいわ。」

「緑の園へ行きましょう何人閉じ込められてるかわかんないからね」

「道案内とかできる人呼べる?」とこちらを向く

「無線貸してね」

ジジッピー

「美穂ですB区アパート返事願います。」

ジジ

「こちら文子です。えっとなにかな?」

ピージジ

「基本的な道案内できる人全員緑の園の大桜の木の下に集めて」

「雄一郎いる?」「います。」「じゃあそこはまかせちゃって。」

「もしかしたら外人とかもいるかもだから文子ちゃん来て欲しい」

ジジー

「わかりました」


「これでいいですか?」

「結構結構もう一人前ねぇ」

「そうでもないですけどね」

「急ぎましょうか」

「はい」

「はい」


夜中なので不法侵入である

行くと勢ぞろいしてた

本を開いて清美さんが入っていく

ほんの一瞬で本に黒い筋が走る

暁子がそれにそって結界を切る

反応がない

暁子が十字に結界を切る

やはり反応がない

私は十字になったその中に手を突っ込む

真っ黒の画面になった先に人がわらわらと手の上に

乗ってきた満員で一度持ち上げる

ちっぽけなブロックほどの人がどんどんと元の大きさに戻る

今度は暁子が手を突っ込んでいた

そして次は私

輝と摩子、清美さんがでてきた

最後ということだろう



閉じ困れてた人々は時代も滅茶苦茶場所も滅茶苦茶

文子ちゃんが大声で英語をしゃべっている

紙も持ってきたようで2011年3月と大きく書いてる

最近の人は即帰りたがったので位置確認だけして返した

東京の鉄道とバス乗り場さへ教えればなんとかなるだろう

問題は戦前に閉じ込められたような人たち

今まで幽閉されてて自由が聞かず戸籍などもないと思える

と説明して新しい戸籍をとってもらい住みかも相談に乗ってもらう

いかにも胡散臭そうだが本当に幽閉されてたのだから仕方ない

外人は即刻故郷へ強制送還されていったが

きっと様変わりにびっくりしていることだろう

いちおう役所にも外交官宅へも全て事実は話してある

昨日のうちにコンビニからFAXいれた

過去から人生還とニュースで後日国ごと申し合わせたように

ニュースとなった

まぁどう見てもどの持ち物を検査しても現代のものじゃないわな


のこりは輝である

ごちんと拳骨

「触るなと言ったでしょう」

「ごめんなさい」

「今回は摩子ちゃんがいたからいいけど

命かかることもあるんだからね。」

「はーい。ごめんなさい」

まだ意味を理解していないなと思いつつ

これ以上は今言っても無駄だろう

無事戻れただけでも感謝しなきゃね

こうして閉じられぬ絵本の事件は終った


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