第15話 炎の使い手と水の使い手
「そんじゃ大方集まったわね
こちらが今度B区地区で登録される
かほこちゃんと燈紫(ひし)ちゃん
水使いと炎使いと極端な二人が来たので
覚えやすいかな」
大勢の人が廊下に階段にひしめきあっている
かほこが
「水つかいなんておおげさな水を生み出すだけです」
「だったら練習しなさい生み出すだけなら価値無し
扱えて始めて水使いといえてよ」
と火炎姫ようしゃない
かほこは「来るの間違えました」と言って去ろうとする
「逃げるの?テレビ局みたいに
ここに来た以上の覚悟はないの?」
「今居る自分で満足しちゃうわけ?」私がいう
「今ある力でできることをすればいい
でもそれ以上を否定するならあなたは伸びない」
「それなら必要ないここに来たことは忘れて
自分のなんでもない生活にもどればいい」
私も言うようになったもんだ
自分がぴーぴー泣いていたくせに
かほこは走って消えた
「さて戻ってくるかねぇ」
「しったことじゃない」と萌香はそれより
「燈紫ちゃんの能力レベルは」
「結構高いと思います。ただ暴走しやすくって…」
「火炎系の特色のままね。それも鍛錬すれば超えれるわ」
「はい。練習します」
「ここでB区地区の妖怪管理をしているわ
両親いなくって寂しいときはくればいい
輝の相手でもしてくれるとたすかるわ」
「はい」
「わーん。わーん。ひっく。わーん」
そのうち1件の家が燃え出す
消防車が消化にあたろうとする瞬間
ボン!一片に両端7棟の家が燃え出す
慌てて緊急要請
緊急要請緊急要請B地区住所〇〇にて大火事があった模様
燈紫ちゃんが関与大です
「こちら雨降らしの哲也(てつや)だ至急向かうで
大体の位置に雲集め取るからな」
「こちらかほこ今朝置いていってくれた無線がなって
私も手伝っていいですか?」
「もちろん!すぐ向かって」
電話をかける
「萌香さんいらっしゃいますか?」
「今大火事のニュースで休みとってすっとんでったわよ」
「わかりました」
私も車を飛ばしてすぐにむかう
住所は燈紫ちゃんの家を指していた
来るとすごい野次馬
とにかく野次馬だけ追い払う形で離脱結界を張る
同じ頃来ましたと自転車を止めるかほこ
「これはひどいですね」
「妖怪の関与ですか?」
「人間よ。一緒に紹介したってにげて行ったからしらんか
一緒に紹介するはずだったひしちゃんの家が中心」
「わかりました。一揆にいきます。」
「え?」意味が分からず聞き返すが
かほこは火事の中心あたりにいく
その時ボーン!また6棟ほどが燃え上がる
萌香…火炎姫が炎の姿で登場
「あの中心にいると思います」
「わかったわ、あやしてくる」
そしてすごいものを見た
一瞬空に海ができたかと思った
それが何箇所かで破裂
ざざざーっと水が流れてきてすねまでぬらす
それからかほこは1件ずつの大きさを作って
1件ずつ濡らす
「すごいなこれは」千之助がいう
「テレビ局返すぞ」お願いします
私もそういってついていくテープをちょん切って焼却
記憶焼却はもっぱら千之助まかせ
カメラの記録も消去これでよしと
消防署ももういらないね
外に出でいっきょに記憶消去結界と離脱結界を張る
人々が消防署が一気に退去していく
泣き声は止んだようだが…
家が熱くってまだ入れない
しばらくして燈紫ちゃんと萌香がでてきて
とにかくアパートに行こうとすると
燈紫やろ?燈紫がやらかしたんやろ?
えーと「おばあちゃん。かな?」
こくこくうなづく「一緒に来てください」
「ママが来たの」
「なのにママ私を置いてまたどっか行っちゃった」
「追いかけようとしたら階段の柱に手をぐるぐるまきつけて」
「どっかいっちゃった、ひっく」炎がぽっと浮かぶ
萌香さんが掴むとシューと消えた
「あの女むごいことをする。生まれたときからせっかん続きや
炎が出るようになったのも自分を守る為やかわいそうに」
そういっておばあちゃんがひしをだきしめる
「うちの息子も悪いんだ。いいなりになりよって。
夜逃げ同然の格好で出て行ったわしのへそくりまで盗んでな」
「もう親子の縁も切れたわ。ただただ燈紫が不憫でなぁ」
「親がいるのに支援制度は使えんってなけなしのお金も持ってかれて」
「生活するにも生活保護申請するしかなくともそれも厳しいて」
「もう死ぬしかない思う取ったら火事や燈紫やと思った」
「もっと早くにあんたらのようなの探していたら燈紫は
人殺しにならんですんだかも知れん」
「ごめんなぁ」「留守しとったばかりにごめんなぁ」
「おばあちゃん嘘つき。おばあちゃんもいじめる」
「いじめとるんじゃない。きびしくしとるんじゃ
そうでないとその炎が消えないだろうが」
「厳しくしても炎は消えませんよ。一度発火能力を持つと
まず消えません優しくしてくれた方が沈下しますでも消えない」
「燈紫ちゃんを保護施設にいれるにはまず力のコントロールが
必要になると思います。クリスタルハウスというアパートが
やはりここと同じ妖怪住居です。今なら空いてるので紹介します」
「そこで二人でくらせますか?燈紫ちゃんは愛情を求めてます」
「厳しくでなく優しく接してあげてほしいのですができますか?」
「できるできるわしの唯一の孫じゃかわいくってしかたない」
「燈紫ちゃん?おばあちゃんにいじめられたら
すぐに私のところへ報告してね」
燈紫はこくんとうなづいた
ひしちゃんはまず炎を意思でコントロールする練習
泣いても炎はだしちゃいけないおこっても炎を出しちゃいけないね?」
「はい」
「それからかほこさん」
「あ、はい?」
「ただ水を出すだけでもあそこまで巨大だと凶器よ?」
「あはは、できるだけ分散させて壊したつもりなんだけど
上手くいかなくて」
「でもおかげで最小限の被害ですんだと思う
火事じゃなく水害にみまわれた宅もありそうだけど」
「ははは、そうですね一軒ずつのがよかったかな」
「規模がでかかったからあの水量は正直助かったよ」
「少しはやる気でてきた?」
「弱虫の私でいいなら」
「強い人間なんていない。私もよわいよ妖怪だって弱い」
「芯に強くなるのは並大抵のことじゃない」
「できることをひとつひとつしていこう」
「はい」
「はーっ」
「お疲れ様」
「全くだわ今日の新人強となるか弱となるか」
「どっちにしろおそろしいわね」
「萌香さんでも?」
「意図してなら7件くらい火の海にすることはなんでもないわよ?」
「意図せずに泣きじゃくるだけなら自分の部屋を燃やすのがせいぜい」
「水使いのほうが使えそうね」
「そんなもん?」
「顔を水でおおえば?」
「んーと溺れる?」
「水死体のできあがり。本人は気づいてないようだけどね」
「水撒きだけが脳じゃないってことか」
「心配なのはおばあちゃんだな。」
「厳しくしてきたってやつ?せっかんをしらないこはせっかんしない」
「てことはせっかんされた子供はせっかんをする?」
「そゆこと父親がせっかんしたとは言わなかったけど…」
「けど?青あざだらけだったわよあの子」
「出て行ったのは孫のせいにして自分を棚に上げる」
「どちらにしろ邪魔だから置いていかれたのでしょう」
「置いてかれた負い目を孫のせいにする」
「孫をいじめて腹いせにするとかね」
「一緒に置かなかった方がよかったということ」
「さぁ?それをこれから検証するのでしょう」
「なるほど」
「長生きしてるといろいろおもいつくのね」
でこピンしながら
「長生きだけじゃおもいつかないわよ」
「頭は働かさなきゃ退化するわよ」
「ははーっ。使わなきゃね使いますよ
二人の特訓マニュアルでも作りますよ」
「よろしい。私は寝るわね、おやすみなさい」
「お疲れ様でした」
その後やはりおばあちゃんのせっかんが激しく
燈紫は萌香にひきとられた
訓練の事もあるので一石二鳥だろう
かほこさんのほうはただ作って潰すのでなく
同じ状態で物を包み込む練習を始めた
こちらは元来器用らしくどんどん吸収していった
即戦力になってくれる
ひとつ合点がいかないことがある萌香さんだ
いがいとあっさり引き取ったが
炎は出すも消すも燈紫ちゃんに負けはしないだろう
でも子育てできるのだろうか?
もう小2だ。むずかしいこともあるだろう
そう思って思い切って聞いてみた
「そうね。女郎でいた期間が長いけど
一度も恋したことないと見えるのかしら?」
「いえそんな意味で言った…恋…萌香さんの恋って
燃えるような激しい恋なんかしちゃったり?」
「若い頃まだ生娘だった頃ね人間と恋をしたわ
子供も生んで育てたしね」
「ほへー。そっか普通の人間の人に恋したんだ。」
「それはちょっと違うかな相手は退魔師だったし」
「私の正体を知ってて受け入れたしね」
「その後にも恋もしたし子供もそだてたし
だけど最初の激しさはなかったわね。」
「拾って育てた子も居るしね」
「はぁベテランじゃん心配して損した」
「何人くらい育てたの?」「燈紫ちゃんで6人目?」
「そっかーそういえば歳も知らないな
いつから生きてるの?」
「それは内緒」
「文子さんより年上?」
「日本探しても年下探すのは辛いかも」
「ひえー卑弥呼時代にさかのぼるとか?」
「だいたいいいせんね」
「…」「…」
「今の話忘れます」「できればそうして」
こうして発火原因のわからない大火事は
闇にまぎれてしまった
死人がでている
いつか越えなければならない燈紫ちゃんの壁だろう
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