第14話 特訓と機械ペット

俺の名はかずみ。靴木かずみが本名だ。

幼稚園で猫またの姿を披露した俺は

幼稚園を辞めさせられ

母の手で育てられた

こんこんと人と妖怪の違いと

人の持っている元来の恐ろしさを

吹き込まれそれでもぐれずにまっすぐ生きている

えらいぞ俺

そもそも猫またの事実が消えない以上

いつかはぼろがでるとおもうのだが

それでも母のいいつけどおり

人間であることを通した俺

やっぱりえらいと思うぞ


俺には猫又以外の能力に

言霊使いの能力が身についてしまった

猫又同様理由も理屈もわからず自然と身についていた

言霊使いの能力があることは

クラスメイトのかすみが知っている

いちおう口止めしといたので広がることはないだろう


そんなわけで今、夜中の公園にいる

消しゴムではおそらく1000回以上

力を吹き込んでは力をぬきだすことを練習してきた

公園のターゲットは鉄棒と昇り棒命を吹き込む

おおおっという声がし公園を出ようとする

「でるな!公園の中にいろ!そうでなくとも目立つんだ」

元の位置に戻れというといちおうおとなしくもどった

一応術者の言葉は絶対だ

「なんかしゃべりたいことはあるか?」

「そりゃもう山ほど」

「じゃあしゃべってていいぞ」

俺は再び消しゴムに命を吹き込み人ほどのおおきさにする

形はあらかじめ人型に切ってある

これを2体つかって入り口をふさぐ

「昇り棒と鉄棒の話は大方愚痴で

二人でいきようようとしゃべっている。」

できるならもう少し小声でしゃべってもらいたいものだが…

「もう少し小声でしゃべれないか」と言うと

「なんだそれと聞く」

あ、招き猫のときと同じね繊細な心つかいはまだできない

「ああーつつ」を「ぁぁーっっ」に変えてしゃべるんだよ

「そんなことしたら鉄棒までとどかないぞ」

鉄棒も大きくうなずく

「しゃーねーなぁもう」

それから30分ほどしゃべらせてやっとく

公園の遊具というのもなかなか大変らしい

その間消しゴムでおさらい魂を吹き込んじゃ抜く

折角魂を吹き込まれて抜かれるのは嫌かもしれないが

それをおぼえないと町中が俺のせいでお化け街路になる

かわいそうだがそうそう使える術じゃないのだ

今は練習のため多用しているが

「さてそろそろ気もすんだろう?戻ってもらうぞ」

「嫌だ」

「嫌だ」

「嫌でもだ」

嫌がるのは承知の上

気を集中していくそれは人魂のようなものを抜き出すイメージ

10分ほど格闘の上競り勝つ、鉄棒があわてて逃げようとするが

入り口はふさいである慌てず

「もどれ。元の場所にもどるんだ」

鉄棒はひきずられる格好で戻っていく

気をゆるめればまた逃げ出すだろう

そのまま気を集中しつづけ10分

両方ともただの鉄の棒に戻った

消しゴムも元に戻して終了

毎日同じものを息を吹き込んで抜いてじゃかわいそうだから

毎回違うものを考えなきゃな


帰り際に美鈴ばーさんに会う

「何捕り物?」

同じようにはしりながら問う

「そうじゃうさぎ借りじゃ」

「手伝うよ俺右から追い込むね」

「気をつけてな」


追い込みにはいろうとすると父親が見えた

かくんとひざをつく

「親父ーーっ。」

「慌てて近寄ろうとすると」

「道側公園に追い込め」

「わかった」

ひざをついた父がしんぱいだったが

とにかく追い込みに集中する

ピューンと凄い勢いでなにか飛んできた

パシッと受け止める石か

これに親父やられたんだな

母親は今子供がお腹に居て参加できないはず

2度目の流産をへて3度目の正直にしたいのだ

じっしつおいかけている人間は多くとも

目的地に追い込めるのは美鈴ばーさんと俺だけ

だけど血がたぎる体が熱をもってなんていうかわくわくする?

猫またの本性だ獲物を追うこの時間が楽しい

なぶり殺すじわじわとした瞬間がたまらない

ふっと我を忘れそうになる自分に活をいれ

追いかけなおす。よし理性たもてる

「あ、千之助さん公園行ってて、もう追い込めると思う」

「了解した」

そういって追いかけるほかの人も誘導しながら徐々に

縄をしめていく要領

追い掛け回してるだけじゃ体力を使う

ほどなくウサギは刈り込めたが千之助さんの刀が効かない?

すごい速さで治癒していく

後ろ足で再び攻撃これは千之助さん慌てず対応さすがだ

そこへ守刀さんが来て「両断せんとむりらしい」

めずらしくヌンチャクで登場した守刀さんが連打で兎をたたきつぶす

「うさぎ倒す必要あるの?」

「町中の機械食い尽くすぞ?」

「うげ。もしかして流行った機械ペット?」

「そうだ」

俺は兎に向かって走っていった機械ペットなら…

取っ組み合いの姿勢で飛び込む

腹を蹴りにくるが両足でカバーする

そして腹を片手で引き裂くあった電池の入り口!

腹からそれを抜き出して


へへん、どんなもんだい狩人なめんなよ

「千之助さんまだ死んでない両断して」

「承知」

両断すると灰になって消えていった


「そう、親父が石当たっちゃって座り込んだままなんだ」

3人ほどで森下さんのところへつれていく

森下さんは医学書の妖怪

西洋医学が日本に来た頃妖怪になったらしい

「こりゃひどいのぉ、石が完全にうまっとる」

「手術じゃ。みなでてまっとれ」

「石が埋まると大変なの?」

「当たり所が悪けりゃ死ぬな」

「やだよ。まだ親父に死んでほしくないよーグズッ」

「こらこら子供をいじめない」

美穂さんが

「急所を外れてるしわき腹だし大丈夫」

「森下先生の腕前は一流だしね」

ほどなく手術も終る

「鉄砲玉が当たったようなもんだから

1週間もすれば猫又なら治るだろう」

そうあまり知られてないけど

猫又や九尾のきつねとかそっち関係の生き物は

自己治癒能力がかなり高い


「え?麻酔かけなかったんですか?」

「本人希望でな。まぁはまったのを取り除くだけの作業だし

後は縫うだけだしな」

「充分痛いと思うのですけど…」

「あんなものも避けられなかった自分への戒めじゃな」

俺は親父のところへ行って

「ドジ~」と頭をぐりぐりした

「痛い痛いそれも痛い」

「俺たぶん言霊使いマスターできたと思うぜ」

「そかそか毎晩がんばってたもんな」

「え?知ってるしこそこそやってた意味ねぇ」


次の日

俺は随分と遠回りをして学校へ行った

かすみと一緒に登校する為に

「だから希望があればもとの招き猫に戻せると思うんだけど」

「ううん。折角魂が宿ったのにかわいそう」

「あのままでいいよ。それにほら」

「あれ招き猫じゃんどうしたの」

「ちいさくなった」

「ちいさくなった」

「ちいさくなったって元の大きさにもどることはなかろうに」

「どれくらいだ?」

「どれくらいだ?」

「そうだなこれっくらい」と人差し指と親指で大きさをしめす

10センチ強ぐらいだな

「分かった」

「分かった」

「練習する」

「練習する」

「頑張れよ。それくらいならかすみの家いれてもらえるぞ」

「うん。それくらいならいいよね」

キーンコーンカンコーン

「やべ遅刻する」

「かすみ走れ」

背中を押して走る

なんだって人間ってこんなにトロイんだろう

ともかくホームルームには間に合った

そしてなんでもない日常が始まる

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