ひとりごと
バブみ道日丿宮組
お題:楽しい僕 制限時間:15分
ひとりごと
独り言を口にする物語を語ろう。ものを作れない僕にはきっとそれが最善の作成方法だ。
「最初はそうだな。僕のことを口にしてみようか」
誰もいない部屋に言葉が吸い込まれてく。
「ある日交通事故にあい、意識不明の重体に陥った。そして35年の月日が経った。僕にとってはそれは一瞬だった」
起きたのは病院の一室。
「異変に気づいたナースが医者を呼び、親を呼んだ」
久々に見る両親の顔は、ひどく老けてた。
「自分が小学生から中年になったのだから、当たり前のことだろう」
当たり前じゃないことといえば、妹ができてたこと。
「中学生。人生が輝いてる頃かもしれない。妹は退院するまで毎日きて話をしてくれた」
ずっと話したかった、と笑いかけてくれた。
「妹というよりは、娘のような気がしてた」
だからこそ、愛はすぐに生まれた。もちろん家族愛。
「そうして僕は勉強をして、大学に入った」
お金は事故を起こした相手が全て払ってくれた。入院費も治療費もこれからのお金も払ってくれるらしい。
「そこまですることなのかと僕は思った」
大学に入ると、僕は一人暮らしを始めようとすると、妹がついてきて一緒に住むことになった。
「社会人となった妹は、すごく魅力的な女の子だった」
これで彼氏がいないのだから、不思議なものだ。
というより、どうして僕と一緒に暮らしたいなんて思うんだろうか。
「まぁいいか。女の子と一緒に暮らせるなんて幸運だな」
いや……事故にあったんだから、幸運は思ったよりかはないかもしれない。
「そして転機がきた。なんと妹は妹ではなかった」
交通事故を起こした人の娘だった。
「びっくりしたね。死ぬかと思ったくらいだ」
親の償いをしたかったといろいろと話された。
「ある種の契約だったのかもしれない」
僕の妻となるまではそう時間はかからなかった。
寝てる僕にどうやら好意を持ってたらしかったのだ。
「それで好きになるってどうなんだろうね」
「ねぇ、さっきから何1人で話してるの?」
玄関から彼女が入ってくる。
「いやさ、いつでも心を解き放てる人になろうかなって思ってさ」
「変なの。そういうのは口に出さないものなんだよ」
そうかな。そうだよと、笑い合う。
僕らは生きている。これからも一緒に生き続けるだろう。
ひとりごと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます