第35話 初デート

かすみの家に帰る道すがら、途中駅で降りて、駅隣接のアパレルショップやレストランなどが複合施設に。

まず思った感想。


「めっっちゃ!!人いる!!!!」

「土日だからね~、そりゃいるよ~」

「昔ってこんな人混みの中待ち合わせとかしてたんだからすごいよね」

「今は携帯あるからね、掲示板とかにXYZとか書いてたらしいよ」

「……それ某漫画のやつじゃないの?」


依頼をするときに新宿の掲示板に書き込むっていうあれ。


「たくみ、あんま人混みに慣れてない?」

「……いやそんなことないよ?逆に得意って感じよ?もう渋谷のスクエア?が一番落ち着くまであるよ?」

「……つまり得意じゃないのね?素直に慣れてないって言いなさい?」

「慣れてないです!」

「……潔いのはお姉さん的にポイント高い!」

「人嫌いです!」

「それは言い過ぎ~」


そんな風に冗談を言いながらビルをブラブラ。

少し歩いたけど、まだまだ広さが分からない。


え?もはや俺どこにいるの?レベル?


気分は一人異世界転生。

都内の地下は迷宮とも聞くし。


これかすみとはぐれたらおわるやつだ。

迷子でお呼び出しされる奴。想像できてしまう。


『都内にお住いの成瀬巧君17歳!彼女さんがお待ちです!迷子センターまでお越しください!繰り返します~……ぷっ』


って笑われる奴やん。

ま、隣にいるからこんな心配する意味も…


「……あれ?」


と、隣にかすみがいない!

お、終わった?


「ま、まさか本当に迷子?」


ま、まずいさっき心配していたことが現実に。

と、とりあえず迷子センター行けば問題ない、か?マジ問題ありそうな気もするぞ?


脳内で必死に冷静になろうとしていると、後ろからちょちょいと袖を引っ張る感触。


「どこ行くの?」


きょとんとした顔のかすみ。


「あ、後ろにいたのか、心配したぁ」

「心配?」


迷子センターのことを話すとあははと笑い始める


「もうたくみ、さっきのXYZに引っ張られすぎだよ、今は携帯もスマホもある時代なんだから。そんな90年代のトレンディドラマみたいな事は流石にないよ」

「90年代のトレンディ?あぁ、東京のラブなストーリーで長時間まった挙句……みたいなことね」

「そそそ、でもまぁたたしかに離れない工夫は必要だね~」


かすみの意味ありげな目線。

これは何かある。

考えろ、ネットの先人たちはなんて言ってた?


『いい感じだと思っていた女性に初デートだと思ってキスしようとしたらきもがられた』

『いい感じだと思っていた相手が帰りたくなさそうにしていたので、ハグしようとしたらひっぱたかれた』

『デートなのに手汗とか気にして、手も握れなくて気づいたら彼氏が出来ていた。最初で最後の手を握るチャンスだったのに、俺はッ、うわぁぁぁぁ』


みたいな感じ。

さっきみた時初デートって難しいな、と感じた。

いや失敗談からこそ成功の種がある。


かすみが手をもじもじ?

はっ?!


「……手繋ごう……?」

「うん!」


満点の笑顔のかすみ。

どうやら正解だったみたい。

よかったぁ。


そう油断している俺が手をつなごうとして、ぎゅっと腕に豊満な感触。


「……これじゃだめ?」


腕に抱き着くかすみ。


「……全然だめじゃない」


むしろいい。

そうしてまたどんな店があるか見始める。

見始める、が。


かすみに意識しすぎて全く集中できない!

いますぐかすみを押し倒したくなってきた。


「ね、ねぇたくみ?」


いつも会話してるより近く感じるかすみの顔。

いや感じるとかじゃない、実際近いんだこれ!

常時上目遣いのかすみの破壊力がやっばい。

可愛すぎてやばい。

同時に俺の理性もやばい。


「これ人にニヤニヤ見られるね?」


そ、そういえばそうか。

いやでもそれは俺らと言うより。


「……かすみが可愛いからじゃない?」

「なっ?!」


俺の言葉にかすみが顔真っ赤に。


「そ、そんなこと言ったらたくみだってかっこいいじゃん!」

「いや俺は普通!」


もうきっぱりと言い切れる。


「いままでもモテたそんな経験ないし」

「うーん、私は世界で1番かっこいいと思うんだけどな?あ、近くに真希いたからみんな諦めた、とか?」


真希か、一緒にいたけどでもなぁ。

いや全然そんなこと関係ないと思うけど、逆はあるかもしれないが。

まぁなんにせよ……


「俺はかすみにだけかっこよく思ってもらえたらいいんだ」

「たくみ」


かすみの眼もとろんとしてきた。


「この流れはまずい!」


今まではここでもうベッドインしてる!

でもここはまだビルの中。


もう帰ればいいのでは?


そんな悪魔の声も聞こえてくる。


「くっ?!」


舌を噛んで落ち着く。


「ふぅ」


かすみも俺が黙ったからか少し冷静になったらしく。


「私気付きました」

「はいどうぞ?」

「密着しすぎるとまずいです」

「俺もそう思います」

「たくみへの愛があふれて、表現したくなっちゃう」

「奇遇だ俺も」


どうやらかすみも同じらしい。


「でもここ来てまだ1時間も経ってないし、今帰るのもどうかとおもうし?」

「うん」

「でも離れるのもいやだから、一旦手繋ぐにとどめない?」

「手つなぎ、意識持つかな?」

「意識手放したら、介抱してあげるから」


意識手放すのもありかもしれない。

介抱されたい。


かすみがぼそっと呟いたのは俺は聞き逃さなかった。


「今我慢したら、夜もっと激しくなると思うし今は我慢……」

「このサキュバスめ」

「……え?」


そっか夜激しくなるのか!

楽しみは取っておこう!


俺たちのショッピングは続く!


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かすみ完璧イチャイチャ回でした。


最高の木曜日来ました!!

明日を乗り切れば、週末!!

頑張っていきましょう。


いつも応援ありがとうございます。

応援モチベになってます。

今後もよろしくお願いします!

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