暁が点火する

この瞬間

東の空に小さな青白い火が走ったかのようだ

点火したガスのコンロにさっと炎がめぐるように

はるか向こうのビル群の赤い障害灯が描く稜線に

たちまちもっと明るい赤がはかれて

みるみる明度が上がる

そして朝焼けとともに白白と夜は明けるのだ


そんな確かに美しい光景を私は病室から見ている


今夜も眠れなかったなと清々しさのない気持ちで

胃が痛かったとか

気持ちが悪かったとか

どうにも姿勢がならなかったとか


モゾモゾした苦しさと布団の中でもつれあいながら、あけていく朝の空を眺めつづける


一体いつになったら

夜明けの気配を忘れた朝日に起こされるようになるのだろう





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