棘の衆
門前払 勝無
第1話
「棘の衆」
荒れる曇り空の下ー。
疋田大次郞は足元に横たわる男の死体から折れた刀で首を切り落としたー。
お主に罪は無いが、アレに気付かれるのは困るのでな…。
疋田大次郞は首を塩の入った桶に入れてその場を去った。
[現代]
コラ!フジ子!
先生が竹刀で居眠りをする紫色でショートカットのフジ子の頭をメンした。
フジ子は飛び起きて両手を合わせて拝みだした。
「な~にしてんだ!」
「あ!」
授業中の教室を見渡して
「夢かぁ…」
と、席に座った。
厳つい先生は困った顔をして周りの生徒たちがクスクスを笑っている。
「先生!疋田大次郞って人知ってますか?」
「え?なんでそれを?」
「今、夢でその人が衆の首を伐っていたんです」
「疋田大次郞は疋田誠一の弟で、陰者を抜けた人物だ」
先生は話ながらビックリしている。
衆とは、正式に“棘の衆”と言う。
彼等は血縁の繋がりでは無くて大御神から選ばれた者達である。
彼等は産まれながらに過酷な運命を背負っている。しかし、運命に気付き悟ったときに世界を変えてしまうほどの力を持っている。世界の秩序が変わりそれまでの世の中は変化してしまうのである。過去の歴史において棘の衆によって世界が幾度も変えられてきた。歴史に残る統一者たちがソレである。その者達の影響力の強さで歴史の真実は幾度も書き換えられてきた。そして、悲しき時代を繰り返してきているのである。
陰者とは、棘の衆が悟る前に消す使命を受けた限られた一族達の事である。世界の秩序を守り争いのない世の中を護る役である。しかし、棘の衆が悟る前に処分しなければならないために存在を秘密にされているのである。陰者は疋田家、鳴海家、大山家があり彼等は“衆消し”の鍛錬を代々受け継いでいる。
そして、鳴海フジ子は鳴海家の一人であり高校へは行かずに“衆消し”の鍛錬を始めたばかりである。
この学校は陰者が棘の衆を処分するための学び舎である。
鳴海フジ子ー16歳。産まれながらに紫色の髪をしている事から藤と付けられた。
両親はフジ子が小学生の頃に村上康彦と言う殺人鬼に殺された。
衆であった村上康彦は早くに悟りを開いていて誤った方向へと突き進んでいたのである。フジ子の両親と大山大善、疋田門司は村上康彦が立ち上げていた宗教団体へ乗り込んで逆に殺されてしまったのである。村上康彦達は海外から武器や毒薬を仕入れて国家沈没を計画していたのである。
フジ子は衆を消す事と両親の仇を打つと決めているのだが、勉強が大の苦手なのであるー。
つづく
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