私の本当の姿、見せてあげる
@yuubi
真の姿
『なんで…』
高校2年生の夏、僕の目の前に現れたのは1人の翼を持った少女だった。
『きゃーー!!』隣のクラスから女子生徒の悲鳴と同時に窓ガラスの割れる音がした。駆けつけてみると黒く人間の一回り大きいくらいの翼をつけた、見た目は人間だが妙な雰囲気を醸し出した言ってしまえば悪魔のようなオーラを放った奴が教室の窓ガラスを割り教室に乱入してきた。そいつの口元を見てみると何か言葉を発している。
『サノラヲダセ サノラヲダセ』と奴は掠れた声で、だが明らかに怒りに満ちた声で言っていた。さのら?そんなヤツいねーよそう思っていた時、隣で見ていた同じクラスの青柳美穂というあまり人と関わることを好まないあの美穂が急に何かを感じたようにスッと周りの人から一歩出て歩き出した。
おいおい、美穂何やってんだよ!?と心の中で思い腕を掴もうとした次の瞬間
美穂の背中から信じられないほどの光が放たれた。僕は目を開けることができなくなり、他の生徒も同じく蹲る者もいた。少しして光が消え目を開けてみるとそこに立っていたのは悪魔のようなオーラを放つ奴とは比べ物にならないほど大きく純白の綺麗な翼を持った少女だった。『美穂?』僕は何が何だか全く分からなくなってしまった。いつものように日本史の授業を受けていたら急に悪魔のような奴が現れ、終いには美穂がまるで天使のような姿になってしまっていたからだ。
すると天使ような姿になった美穂が
『私がお前の望んでいるサノラだ。お前はなぜこの世界に入って来ているのだ?
お前の国の者はここには来れぬよう呪文がかかっているはずだ』
明らかに違う。喋り方、声のトーン、仕草、いつもの美穂とは全く違う。小学校の頃から彼女を見ていた僕にとってこの変化はすぐに気付いた。彼女は本当に美穂なのか?そう疑問に思い始めていた。無理もない。目の前にいる少女は翼の生えた悪魔と会話をしているのだから。
『お前の仲間なのか?そいつらは はっはっはっ』
馬鹿にしたような笑い声で僕たちに目を向けたその瞬間一気にこちらに突っ込んみ僕はすかさず目を閉じた。すると『バッ!!』と音がし目を開けると美穂が大きな翼を僕達を覆い隠すように広げ白い羽がひらひらと舞うのと同時に美穂は倒れ落ちた。それと同時に悪魔のような奴は一瞬で消えた。 『美穂!!』僕はすぐに彼女に駆け寄った。彼女を抱き抱えると
『びっくりしたでしょ?私ね、本当は人間じゃないんだ。こんな姿見せたくなかったんだけど見られちゃった。こんなタイミングでいうのもアレだけど、、』
『私聖司のこと好きだったんだ…』と言い終わるか終わらないかのところで美穂は目を閉じた。
『美穂!美穂!僕何もまだ何も美穂に伝えられてないよ』
『なんで…なんで美穂はなんでもっと僕に色んな話をしてくれなかったんだよ』
これを最後に美穂は僕の腕の中で静かに息を引き取った。
その事件から月日は流れ僕は20歳になった。彼女は家族の話や出身地など自分の生まれ育った環境などを一切話してくれなかった。今思えば話したくても自分の正体がバレるのが怖くて話せなかったんだろう。彼女がどこから来てなぜここに住むようになったかは全くの謎だ。しかし僕はまた必ず彼女と会えると信じている。なぜならば彼女は
美しい天使なのだから。
私の本当の姿、見せてあげる @yuubi
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