神代千尋③
私が目を覚ましたのは学校から近くの病院のベットだった。
「千尋...目が覚めたのね...よかった...」
近くの椅子にパソコンを触っていたお姉ちゃんが安心したように言う。
外はもう夕方みたいで少し暗くなっていた。
「にぃは?」
「晩ご飯買いに行ってくれたわ。もう、気が気じゃなかったのよ?」
「ご、ごめんなさい。」
「まぁ謝ることないわよ、とは言えないけど。全部あなたが悪いわけでもないから。」
それからにぃが来るまでの間、私が気を失っていた間になにが起きたかを教えてもらった。
気を失うほど頭を強くぶつけたものの、そこまで大事ではなく、一応大事をとって病院へと運ばれたらしい。頭をぶつけた時は何時間からたってから急に倒れたりすることもあるから仕方がない。
私を殴った子はというとかっとなってつい殴ってしまったから、少し落ち着いた頃には事の重大さに気付き、かなり落ち着きを失っていて、放課後まで気が気ではなかった様子。まぁそれはにぃとねぇねぇも同じことだった。私がそうでも絶対そうなるから、本当に心配をかけて申し訳なかったと思う。
とりあえず、授業潰してまで話す必要はないと考えた学校側は放課後に話し合うとの判断をとった。ねぇねぇも、にぃも、全然納得いかないみたいで校長に文句を言いに行ったらしい。学校はことを荒げたくなくてどうにか騒ぎにならないようにしようとしていて、重大な問題として扱わないらしい。ちょっとしたことでも炎上してしまうこの社会だからネットに書いたりは絶対にしないでね、と言われたねぇねぇ達は私が怪我したことを保身のために蔑ろにする校長にかなり怒って、話し合いをしないで学校をサボって私のことをつきっきりで面倒を見てくれていた。
話し合いは明日に色々準備をしてから、らしい。
私の様子を見ながらねぇねぇとにぃで色々明日の話の準備をしているみたい。
「千尋!起きたんだ!」
そんなこんなで経緯を聞いているとにぃが買い物から帰ってきた。
「にぃ、心配かけてごめんね?」
「まぁ仕方がないところもあると思うし...」
すると、ねぇねぇの方を見て、
「今回許せないのは...ねぇ...?」
にぃが今まで見たこともない表情を見せる。
笑ってるけど、笑ってない、とても怖い表情だった。
「あの教師達本当に許せないよね...?さすがに僕も怒っちゃったかな。」
「ええ、そうね?明日は徹底的に叩き潰してやりましょう。」
その後にぃとねぇねぇは今まで見たこともないくらいに集中してパソコンとか、携帯とかをいじっていた。
あれだけ気を失っていた私だけど、眠気には逆らえずうとうとしだした頃、
「千尋、眠たいなら寝ていいよ。今日大変だったでしょ?」
「ええ、そうよ、あとは私達に任せて。」
「にぃ、ねぇねぇ、ありがと。おやすみ。」
「ええ、おやすみ。」
「うん、おやすみ。」
そうして2人が色々と話していることに少し嬉しく思ってしまった私は気恥ずかしくなって布団を被りこんで眠りへと就いた。
僕達は面会時間が終わって家に帰ってからも綿密に調整を重ねて妹の仕返しを成功させられるような計画を立てた。
「お姉ちゃんも寝たし、最後の確認も終わったね。明日、あの教師共に一泡吹かせてやるぞ...」
「もう3時か...僕も明日に備えてもう寝よ...」
僕も疲れていたから布団にはいってすぐに眠りに就いた。
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