いただきます
「ふぅ...ただいまー」
「お邪魔します!」
「ん、入って入って」
そうして千尋は小春さんをリビングへと案内する。
「ご飯出来るまでゲームしてよ。」
「うん!ゲームあんまりしたことないから足引っ張るかもしれないけど...」
「大丈夫。パーティーゲームだから。」
お、千尋がFPSゲーム以外をやるのは珍しいな。
「千尋ちゃん、コントローラーってどうやって持てばいいの?」
「これはこうやって横持ちにして...」
「なるほどなるほど...」
小春さんはゲーム説明を夢中になって聞いている。
千尋、お姉ちゃんに教えてるからかゲーム教えるのは上手いんだよなぁ...
お姉ちゃんゲームに関しては最初はかなり不器用だからなぁ...
そういえば最近新しいFPSゲームやった時も......
「これどうやってキャラクターを動かすの?動かないのだけど。」
「ねぇねぇ、ここでキャラクター動かすの。」
「ここね?ありがとう千尋。」
その後も...
「全然敵が見つからないわ...このゲーム難しいわね...」
でも突然コツを掴んだようで、
「なるほどね。このゲームはあのゲームに感覚が似てるのね。大体わかったわ。」
と言ったかと思えば、ほんの数戦で千尋と1vs1で一本をとっていた。
千尋がその前に10本くらい先取していたとはいえ、千尋から一本を取るのは初心者には絶対できないことなのに。
あの時は千尋もとても悔しそうだった。
お姉ちゃん曰く、
「千尋の癖を読んで不意を突いてようやくね。」
とのこと。
それでも他のFPSで感覚を鍛え上げている千尋から一本をとるのは本当にすごい。
ちなみに僕が千尋と1vs1をしたとしても3本、多くて4本くらいしか取れない。
まぁそこから千尋は一本も取らせなかったけど、よほど悔しかったのか次の日は学校から帰ってきては速攻でパソコンの電源をつけてずっと練習してた。
「さ、麺茹でながらソース作りだね。」
いつもより作る量は多くなるけど、それはそれで楽しいからいっか。
そうして麺の量を測っていると、
ガチャ、とドアが開いて
「ただいま。」と声がした。
時間を見るとまだ18時30分。いつも生徒会の仕事がある時は19時を超えることが多いから頑張って速く仕事を終わらせてきたことがわかる。
「お姉ちゃんおかえりー。お疲れ様。」
すると洗面所から
「ありがとう。晩ご飯楽しみにしてるわよ。」と声がする。
「期待されてもいつもとそんなに変わらないよ...?」
「そのいつもを楽しみにしてるのよ、ふふ。」
「なっ、あ、ありがと...」
お姉ちゃんはこういうことを不意に言ってくるのはずるいと思う。
しかもこの人これを楽しんでいる節があるからもっとずるい。
「じゃ、じゃあそろそろ麺茹でようかな...」
手を洗い終えてリビングに入ってきたお姉ちゃんが、
「あら、あなたが千尋のお友達ね?初めまして。」
「は、はひ!はじめまして!く、九条小春といいます!」
「ふふ、そんなに緊張しなくてもいいのよ?」
「あら、私もこのゲーム一緒にやってもいいかしら?」
「はい、是非ともやらせていただきたいです!」
「そういうと思ってパーティーモードじゃなくてミニゲームモードにしといた。」
「流石千尋ね。ご飯食べ終わったら千秋も混ぜて4人でパーティーモードにしましょう。」
「はい!そうしましょう!」
小春さん、お姉ちゃんと普通に喋れてそうだね。よかったよかった。
「このゲームは私が一番。」
「あら、私もそう簡単には負けないわよ?」
「わたしも頑張って勝ちたいな!」
そうして皆がゲームを楽しんでるのを見ながら僕は料理を完成させて、4人分の盛り付けを済ませて料理を運んで、
「みんな、ご飯できたよー。」
「わかったわ。今ちょうど区切りまで行ったところよ。」
「今日もおいしそう。」
「わぁ、お兄さんお料理上手ですね!」
「まぁ作る機会が多いから自然とこれぐらいは作れるようになっただけだけど...」
千尋もお姉ちゃんも僕と同じぐらい料理作れて僕が特別上手いわけでもなくて、僕のご飯を食べたがるんだよね...そんなに特別おいしいってわけでもないんだけどなぁ...
皆が席に着いたところで
「小春さんからは色々話を聞きたいわ。学校での千尋のこととか。」
「あ、それは僕も気になる。」
「別に、いつもと同じ。」
「わたしも家での千尋ちゃんがどうしているのか気になってたんです!」
「ま、とりあえず食べよっか?」
「はい!」
「「「「いただきます!」」」」
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