なるほどなるほど。
「うう...緊張する...」
千尋はお姉ちゃんが苦手なわけじゃないんだけど、ただこういう人に状況を話したり、説明したりするのが得意じゃないんだよね。
「まぁところどころは僕も手伝うから。」
「ん、ありがと」
少し嬉しそうに千尋は言う。
コンコン
生徒会室の前にたどり着いた僕たちはノックをして、
「失礼します。神代若葉さんはいますか?」
ガチャ、ドアが開くと、
中から人が出てきて、
「若葉さんならまだ来てないですよー。」
「あ、健二さん、さっきぶりですね。」
「そうですね。もう少しで来ると思うんだけど...」
「申し訳ないんだけどそこの椅子で少し待っててもらってもいいかな?」
「はい、分かりました。」
そう言うと、健二さんは生徒会室の中へと戻って行った。
そう、僕たちの高校では他の学校よりも生徒会の権限が強く、生徒会役員と顧問の先生以外が生徒会室に入ることは原則として許可されていない。
入るためには生徒会長か顧問の先生の許可が必要となる。
「で、千尋。今日の晩ご飯はなにが食べたいの?」
「?小春に聞かないの?」
「いや、小春さんも言いにくいでしょ?」
「一応小春さんにも聞いてみるけど、千尋の希望ももう聞いておこうと思って。」
すると千尋はうーん...と唸りながら考えて、
「ん...ああは言ったけどあんまり希望ないかも。」
と言った。
「別ににぃの料理ならなんでもいいや。」
「嬉しいけど...何かない?」
「じゃあ、スパゲッティはどう?」
スパゲッティか...作りやすいしアレンジの幅も広いからいいね。
千尋わざと料理名言わなかったね...
「そうだなぁ、じゃあカルボナーラとかでいっか。」
「ん、そうしよう。」
そうして献立を話しているうちに、
「あら、こんなところでどうしたの?」
若葉お姉ちゃんが来た。
「それは千尋から説明してもらうから。」
「そうなの?で、どうしたの千尋?」
「えっと...今日、友達家呼んでもいい?」
ちょっと?頑張ってるけど要点が抜けてるよ?
すると若葉お姉ちゃんは納得したように、
「なるほどなるほど。全然いいわよ。」
「ちょっと待って?お姉ちゃんまだ色々説明が足りなくて...」
「分かるわよ。千尋のお友達と晩ご飯を一緒に食べようって話でしょ?」
...え?なぜか伝わってる???
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