反省
拙作『パンツ泥棒と少女騎士』(旧題:『パンツ泥棒と自称女騎士』)。
自信作ではあるものの、残念ながら期待したほど多くの読者様を獲得できませんでした。
より読んでもらえる、楽しんでもらえる作品を作るにはなにをすべきか?
作品の内容に関して、改善すべき点と今後も伸ばしていきたい良い点を自己分析してみました。
× × ×
【改善すべき点】
■ひとりよがり
だいたいこれに尽きます。
自分の趣味に走りすぎ、読者を楽しませるための努力に欠けていました。
『脳噛ネウロ』『暗殺教室』の松井優征先生が言っていた「防御力」、
つまりは多くの読者様にストレスなく読みつづけてもらえる工夫をする努力を怠っていました。
次回作では自分のパッションは大事にしつつ、それをより多くの人たちに受け入れられるものにする努力をしていくつもりです。
以下はほぼ、この「ひとりよがり」という短所の内容を詳しく分析していったものになります。
■つかみ(スタートダッシュ)に失敗した
(「単純に面白くない」という可能性はひとまず置いておきまして……)
最初の5話で「作品のコンセプト=売り=読者が得られるメリット」を明確にすべきでした。
自作を顧みると5話まではサービスシーン多めで、そのこと自体は悪くないものの、
続く10話まででバトルやドラマ、陰謀劇の要素を入れようとしていて、5話までの雰囲気を期待してくれた読者様を裏切った形になってしまいました。
いろんな面白さが入っていること自体は、個人的には悪くないことのように思います。
しかし、結果として5話までで興味を持って読んでくれた読者様が10話までで中だるみを感じて離れて行った可能性が高いです。
(Web小説の宿命かもしれませんが、事実PV数がそのあたりで激減しています)
次の「コンセプト」の話につながりますが、中心となる魅力=コンセプトは明確に、ブレないようにしなくてはいけなかったのだと思います。
■コンセプトが不明瞭
「作品の売り=読者が享受できる楽しさなどのメリット」を明確に意識できていませんでした。
「ドラマ」「お色気」「バトル」「陰謀劇」「謎解き・伏線回収」など、やりたいことを詰め込みすぎたせいです。
面白さが多岐にわたること、それ自体は悪くないと思います。
ただ、軸となるコンセプト=作品の売りは、上記のうちのどれかひとつに絞るべきでした。
読者がそれを求めて読んでくれるという、作品の軸となる魅力をひとつに絞り、その魅力を継続的に供給しつづけること。
読者の期待を裏切らないこと。
それが読み続けてもらうためにやるべきことだったと思います。
■対象読者を明確に想定しきれていなかった
上記の「コンセプトが不明瞭」と被る部分も多いですが、
いまいちど念頭に置かなければいけないのは「Web小説の読者がどういうものを求めているか」ということかと思います。
「カクヨム」でWeb小説を読むのはどんな人たちか。
彼らはどんな時に、なにを求めてWeb小説を読むのか。
そのあたりをきっちりと意識すれば、Web小説におけるベストな文体や物語が自ずと見えてくるような気がしています。
■世界観設定が弱い
「女騎士とメイドとサキュバスと日本っぽい国から来た盗賊」が同居する世界観は、それ自体は悪くないと思います。
問題は、その世界観におけるリアリティーが不足していたこと。
もともと異世界ファンタジーにはそこまで詳しくないというのと、
世界観設定をくどくど説明するものよりドラマでぐいぐい進めるものの方が好みではあったので、浅い知識で強引に書き進めてしまいましたが……。
おそらく異世界ファンタジーの読者の多くは、異世界の文化や風土に触れる楽しさ、その世界ならではの人物の考えや行動なんかを期待して読むものかと思います。
「話が面白ければ設定が多少粗くても」というのは書く側の都合であって、
異世界ファンタジーというジャンルに挑むなら、そのジャンルのファンの期待に応えられるような最低限の水準は満たしておくべきだったかと思います。
■明確なテーマが欠けていた
熱い人間ドラマをやりたかったのに……。
テーマが定まりきっていなかったために、再終盤の盛り上がりに欠けたのは致命的でした。
これはしかし、加筆修正すればなんとかなるような気がする……。
最終盤はやや息切れしてしまい、やっつけで書いてしまった面もあるので、時間があるときに改稿したいと思っております。
■ラストのバトルが盛り上がりに欠けた
これは下記の理由によるものと思われます。
①明確なテーマが欠けていたせいでドラマとして盛り上げきれなかったこと
②バトルを盛り上げる戦闘描写について技術不足だったこと
③バトルのシチュエーション、つまり場所や武器などが単調だったこと(設定不足・リアリティー不足)
■描写力不足
簡潔で読みやすい文章が理想なので、感嘆するような名文を書ける必要はないと思ってはいます。
ですが、戦闘など要所での描写力はもう少しあった方がいいと思いました。
盛り上げるべきところでちゃんと盛り上げられる演出力といいますか……。
この点はやはり、いろんな作品を読んで研究することが大事ですね。
■視点が変わりすぎ?
これ、ぶっちゃけどうなんでしょう? わかりづらかったでしょうか?
できれば1話ごとに人物の視点は統一した方がいいのだろうとは常々思っていましたし、事実5話くらいまではそうしていましたが……。
私自身は割と「改行してあって且つ誰が視点を持ってるのか明示してあれば読めるだろう」と思い、また『アルスラーン戦記』なんかも割とこれに近い書き方をやられていたので、
極力伝わるように配慮しつつ、思い切って1話の中で視点が何度も入れ替わり可能な書き方で進めていました(そのことにメリットを感じていたので)
しかし、流し読みが前提となるであろうWeb小説では、
あるいはこの文体が読みづらさにつながっていた可能性もなきにしもあらず……。
実際どうだったでしょうか?
もし本編お読みの方がいらっしゃればご意見いただけると非常にありがたいです。
■ミルティーユとノワのキャラの魅力が描き切れていなかった
これは完全にミスりました。
ミルティーユについては、単にフレーズに好き好き言うだけから一歩踏み込んだなにかが欲しかった気がします。
あとは……ちょっと完璧にしすぎたかな。
結果としてミルティーユ上げが過ぎる印象を持たれてしまった可能性がある気がしています。
ミルティーユとフレーズのエピソード、バックストーリーはいろいろ考えていたものの、序盤がもったりすることを防ぐためにかなり削っています。しかし、それが魅力不足につながったような……。
結果としてラストバトルが全然盛り上がらなかったので、
大幅に加筆修正するか、いっそエピソードごと削ってしまうか本気で悩んでいるところです。
【よかった点】
■お色気シーンは楽しく書けた
なんだかんだ自分も好きなんですなぁ……笑。
がっつりエロい展開や淫靡な表現は避けましたが、それなりにエッチで楽しいシーンをいくつか書けたんじゃないかと思います。
PV数を見てもタイトルにエロ要素を入れた話は若干多めになってました。
エロは偉大……!
■謎解きと種明かしは書きたいものが書けた
もちろん完璧ではないと思いますが、なかなか面白く書けたんじゃないでしょうか。
読者様に伝わるかという点が気がかりでしたが、コメントくださった方には概ね好評だったので良かったです。
今後もこういうのを書いていきたいところ。
■裏切りキャラをそれなりに書けた
最初のミスリードは若干セコかった気もしますが、例の彼はなかなかいい感じのキャラになったんじゃないかと思います。
最後の負け方は情けなかったけど実は好きなキャラ。敵ながら有能ですしね。
■敵側のキャラが味方になるという、やりたかった展開がある程度できた
ロランジュさんが思った以上に活躍してくれました。
欲を言えばライデン氏にはもう少し戦闘面でも活躍してほしかったですね……。
■ポミエがコミックリリーフとして大活躍してくれた
露出プレイの素晴らしさを伝えてフレーズの心情を変化させるシーンは、元々は存在しなかったものでした。
「一族繁栄のために子種がほしい」という切実な欲求が大胆な行動に駆り立てていたり、
種族の特性として発情しっぱなしという設定が思いのほか面白く、
にもかかわらず純朴な性格というのがいやらしさをいい感じに打ち消していたかと思います。
あと、やはり主人公に対して一途なのがかわいい。
こう言ってはアレですが「いつも一緒にいてくれて肯定してくれるキャラ」は大事ですね。
■更新のたびに読んでいいねをくださる読者様が一人だけでもできた
これは自分の功績ではなく、たまたまその方が自分の作品なんぞを気にかけてくださったおかげです。
なぜ見つけてくれたのか、なぜ気にかけてくださったのかは不明ですが、
おかげさまで消えかけていたモチベーションの燃料になり、完結まで持っていけました。
本当にありがとうございました!
× × ×
取り急ぎ反省はこんなところでしょうか。
もし他にご意見などありましたら、コメントなどいただけるとありがたいです。
本作の改稿や次回作執筆の際の参考にさせていただきます。
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