第17話 終戦処理と卒業
なぜ破損解析確認作業を、後から行うのかって?
光速戦闘中には、そんな暇や余裕がないからである。
いかな、事象改変能力がナイツやメイジにあるからとは言っても限界はあるのだ。
光速で戦闘している最中に、相手とその一コマをかけて競っている最中にそんな暇はないのだ。
ナイツやメイジに事象改変能力があるのは、いたって普通のことなのだ。
イベント・モディフィケーションという能力があり魔力で事象改変を行い、周囲への被害を減らし自身の周囲のみの事象を改変する力が備わっている。
それがナイツであり、メイジの固有の能力であるのだ。
他のクラスの者達にはない固有能力であり、それがない場合周辺被害への負荷がものすごく高くなるのだ。
光速で動く、それすなわち周囲への被害を考えずに動くと空気の壁の抵抗力で周囲が衝撃波に包まれるのだ。
自身ですらその空気の壁にぶち当たり、体をいわせてしまうであろう。
その現象を防ぐために、イベント・モディフィケーションという固有能力があったのであったりする。
他にも六個の固有能力があるが、ここでは複雑なため割愛する。
解明されているナイツとメイジの固有能力は七つといわれているが、それ以上あるとの説もあり全容ははっきりとしない。
現在解明作業中であるともいわれるが、発現し確認されている能力が七つだけの可能性もあるのだ。
つまりその能力が発揮できないものは、ナイツやメイジではないといわれているのだ。
今回は一撃目で大将機の太刀を歯噛みで破損させ、私の打ち込みの二撃目でコクピットを打ち下ろしで叩き潰し大将は機体の中で一撃でこと切れていたことが判明したのだ。
そして三撃目で、M・Mの大将首を斬り上げによる打ち込みで
正に光の速さで、戦闘が終わり身印を高く掲げたということまで分かっている。
それに我が方に損害無しの、極上の結果となったことも付け加えねばならない。
サイファードも無傷の機体が多く、損傷は盾で止まり本体に傷の入ったものはいなかった。
戦後処理をする段になり、私もスクーデリア皇国ファランクスFXこと姫機で戦後処理に当たった。
随伴歩兵も付いて来ているため、捕虜の身となった腹斑家の家臣たちが捕まっていった。
といっても残りは十数名で終わりで、奥方は自刃、子供も道連れとなったことが後から分かったことである。
反乱せねばこのようなことは無かったろうに、とは思うが捜索班が大量の密書の中からタランチュラと絡んでいた証拠と思われる密書を発見したのであった。
タランチュラ……どこにでもいるような顔をして自国をそんな連中が渡り歩いている、ソレだけで腹が立った。
タランチュラは非合法組織の一名称であるが、底が深く見通すことのできない闇を抱えていると聞く。
そこは捜査探索班に、任せることにした。
一国の姫が持つには、とても重いものだからである。
精査してもらって確認をしたうえで、王の名代として魔導転移門で斑鳩国国王陛下に渡しに行くことくらいしかできない。
私ができることはそこまでだろう、そう思っていた。
同じ戦場に来ていた叢雲家のエクレールとも、会えて軽く話ができた。
具体的には、カレッジ卒業の日取りの打ち合わせであった。
この戦が結したため、卒業の日取りが早まってしまったそうなのである。
それは致し方なかった、お互いにお役目を抱えている身なわけだからして……。
お互いにまた会える日も来ようということで一旦戦場で別れ、カレッジに戻ることになった。
戦場が狭い範囲であったため、動員された藩数は少なく友人で参加したものはエクレールだけであった。
それが災いした形になったが、それも致し方ない。
私はもうすでにいつ卒業してもよいといわれている身であるからして、留めようがないのも事実なのだ。
一旦、カレッジに戻って復学を再開してから三日ほどで私は一度カレッジを離れた。
国王の名代として、親書を斑鳩国国王陛下に渡すためである。
もちろん先の腹斑戦に置いての報告書も、書状として一緒に持っていくことになっている。
斑鳩国国王陛下に会うのはこれで三度目である、一度目は元服の儀の時、二度目は成人の儀の時にお会いしている。
どちらの時も、礼節は仕損じなかった。
今回も同様に礼節を仕損じることはなかったが、国王陛下の顔色があまりよく無かった事が若干感じ取れた。
タランチュラが関わっていた、とされる辺りを読んでいるときであろうと思えた。
その後、書状をいただき礼節を護り、帰途についた。
本国の王様こと父上様に報告を行い、書状を手渡しことの報告を行って名代を務め終えた。
またカレッジに戻り、エクレールの隣で残りの学生時間を勉学に勤めあげた。
そしてエクレールと一緒に卒業の日を迎え、無事学生生活を修めたのであった。
その日を最後に、エクレールは武者修行の旅に出たとかで便りの文が来るくらいで文通するくらいであった。
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