とあるめぐり合わせ
バブみ道日丿宮組
お題:暗い悲劇 制限時間:15分
とあるめぐり合わせ
やってしまった。
そう思ったときには遅く、
「だ、大丈夫?」
人におもいっきりぶつかってた。
「……ねぇ?」
転倒した相手は揺さぶっても反応がない。どうやら意識を失ってるようだ。
どうしよう。女の子だよね?
ボーイッシュな格好をしてるが、出るところはでてる。
どうするべきか……。
青年ならともかくとして……少女であるならば、ここに放置しておくわけにもいかないだろう。僕のせいで犯罪に巻き込まれたなんてことになれば、たちが悪い。
家まで10分。
なら、連れてくしかない。
考えは決まった。
「……ごめんね」
背負うと、小柄ということもあってあまり体重を感じなかった。
夜ということもあって、誰ともすれ違うこともなく家にたどり着いた。
「ただいま~」
玄関に、ゆっくりと少女を降ろす。
「にゃ~」
家主の帰還を悟り、部屋の奥から猫たちがやってくる。
三毛猫、黒猫、白猫の三匹。
朝見たと同じで元気たっぷりだ
「餌ちゃんと食べたか?」
リビングにある自動餌やり機を確認すると、きちんと動作してたらしい。
「にゃにゃ?」
来客に猫たちは興味を持ったらしく、ぺちぺちと少女をつついてた。
「こ、こら、やめないか」
猫たちから引き離すように、少女をお姫様抱っこし寝室へと向かう。
相変わらず体重を感じない。ちゃんと食べてるのか?
他人の家庭事情を気にしてる場合じゃないが、起きたときに何か食べさせるべきかもしれない。
「これでいいかな」
ベッドに寝かせ、布団をかけた。
「なんじゃこりゃああああああああ!」
数分後、絶叫が聞こえた。
どうやら、少女は起きたらしい。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない……ってか、あなた誰? ここはどこ? わたしは誰?」
少女はいろんなところに視線を巡らせ、はてなを浮かべる。
「それって本当?」
「うーん、思い出せない。なにかしようとしてたことはわかるのだけど、あとはさっぱり」
まさかぶつかった拍子に記憶を失った? そんなことありえるのか?
「……おなかすいてるの?」
ぐぅというお腹の音が聞こえた。
「そうかもしれない」
そうして、少女と僕の記憶を巡る旅がはじまることはあったようなかったような……?
とあるめぐり合わせ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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