第9話 冒険者ギルド2

説明はまだまだ続くようだ。何も見てないし全て覚えているのだろうか?


「最初に登録すると「アイアン」ランクになり、「雑用」「採取」の依頼が受けれるようになる。「討伐」は「ブロンズ」ランク以降、「護衛」は「シルバー」ランク以降が受けれる。」

「「アイアン」ランク以外は各ランクの上下1ランクの依頼を受けることが可能だ。例えば「ブロンズ」なら「アイアン」「ブロンズ」「シルバー」ランクの依頼を受けることは可能だ、1つ下のランクを受ける場合は依頼が余ってる時だけだな、1つ上の場合は受付時に職員が判断する。」

「依頼内容と報酬は依頼表に書いてある。ちゃんと読まずに適当に熟すと報酬が減る場合があるから気を付けろよ。」

「それとさっきは言わなかったが、「常設依頼」が存在する。これは「薬草採取」「ゴブリン討伐」「オーク討伐」になる。ゴブリンとオークは無駄に増えるからな、見つけたら討伐するような決まりになってる。「アイアン」でも討伐ができる依頼だがゴブリンは何とかなるだろうがオークは無理だから気を付けろよ。」

「まぁ、基本はこんなものか、聞きたいことはあるか?」


まだ登録するとも言ってないのに、カウンターの上に登録用紙を用意している。


「冒険者ギルドの規則はありますか?」


「そうだな、細かい規則はそれなりにあるが、とりあえず「喧嘩するな」だな」


「え?それだけ?」


「冒険者になるのは力が全ての奴とかが多い、難しい規則を言ったところで聞きゃしねぇよ」


予想していたとはいえ、脳筋ばかりか……普通の人もいるんだろけど…


「他の規則は登録したらこの冊子やるから読んどけ」


 カウンターの上に薄い冊子が置かれた。そして羽ペンを渡される。登録させる気満々である。


「字は書けるか?書けないなら代筆してやるぞ?」


「え?まだ登録すると言ってませんけど?」


「登録しとけ、依頼を受けなくても冒険者の身分はなくならない、気が向いたら依頼を受けるくらいでも問題はない。登録料は 1,000メルだ。」


 断ってもよさそうではあるけど、登録しても害はなさそうだなぁ…

鞄の中から小銀貨を1枚とりだしてカウンターに置いた。


「登録します。これを書けば良いのですか?」


「おう、書ける範囲で良いから書いてくれ」


 登録用紙を見ると「名前」「種族」「スキル」を書く欄がある。

 文字を日本語で書こうとすると手が勝手にこちらの文字になるように動いた。なにか不思議な感覚ではあるが、気にしても仕方がないので記入していく。

 ふむ、名前は「アスカ」種族は「ヒューマン」スキルは「短剣」と「生活魔法」でいいか……


「これで良いですか?」


「おう、【生活魔法】が使えるのか、魔力にもよるが他の魔法も使えるようになるかもな、冒険者ギルドで月に1回魔法基礎の講習をやってるから出てみろ」


 一般常識をインストールされたときに知ったけど、この世界は12か月360日で1年になっている。曜日も決まっているが村などでは1年中なんらかの仕事をしているので意味がなく、行政府や街の商会が使用しているくらいだ。

 曜日は「光」「火」「水」「風」「土」「闇」の6種類で「光」が地球でいう日曜日にあたるらしい。


 1日の時間も24時間だが、細かい時間をはかる技術がないので普通の人は日が出たら朝、南中したら昼、沈んだら夜くらいしか認識していない。街では朝6時と昼の12時、夕方6時に鐘が鳴らされる。


「次の講習はいつですか?」


「ちょっと待て、調べるから…………お、明後日の風の日だな」


「わかりました。参加してみようと思います。」


魔法が使えるのはわくわくする。ぜひ覚えて使ってみたい。


「最後に身分証を出してくれ、所属を記録するから」


鞄の中から身分証を出すと、山賊の親分(フレッドさん)は驚きながら受け取った。


「このタイプは久しぶりに見たな、爺どもが持ってるの見たことがあるくらいだ。」


「そんなに珍しいのですか?城門でも言われましたが…」


「そうだな、30年くらい前から新しい身分証になったからな、持ってるやつは爺か婆だけだ、城門でも別口で調べられただろ?行政府で発行できるが、ここでも発行は可能だがどうする?3,000メルは払ってもらうが……」


「わかりました。面倒なので発行してしまいます。」


そう言って、鞄の中からさらに小銀貨を3枚出してカウンターに置いた。


「ちょっと待ってろ、新しい身分証を発行する魔道具を持ってくるから」


 身分証を私に返し、カウンターに置いてある小銀貨を掴むと、山賊の親分(フレッドさん)はカウンターの奥に引っ込んでいった。

 魔道具でやるのか魔法がある世界だから不思議道具がいっぱいありそう、錬金術もあるみたいだしいろいろ調べてみたいなぁ


 しばらくすると、左右の引き出しがついてるティッシュボックス位の箱とブレスレットをもって戻ってきた。


「まず新しい身分証を作るぞ、これが新しい身分証になるブレスレットだ。」


 身分証になるブレスレットを渡された。アルベルトさんたちがつけていた物と同じ形なのでみんな同じ物を使っているのだろう。プレート部分が黒くなっていて何も表示されていない。左右の引き出しがついてる箱が目の前に置かれた。


「この箱の右側にそれを入れろ、左側は古い身分証を入れるんだ」


 右側の引き出しには「新」と書かれており、左側の引き出しには「旧」と書かれている。言われた通りにブレスレットとカードタイプの身分証をそれぞれの引き出しに入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る