この物語はフィクションです

TKSD

プロローグ

それは、大規模な感染症が収束して、東京で五輪が開催されたそのあと。

歴史が少しだけおかしな方向に歪んで、日本が別の世界線に突入したような時代だった。

不条理世代ふじょうりせだい――あとのほうでそんな名前がついた世代。

成功した社会主義国家から、混沌とした無秩序国家へ。僕が生まれたのは、そんな時代だ。

僕は高校生で、東京に住んでいて、街は悪党だらけだった。

まるで、ごちゃまぜになった闇鍋の中の青春。

でも、最悪ってわけでもない。生きることに飢えていて、色んなものと戦っていた。

青春のエントロピーは増大し、やがてカオスへと収束する。

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