第15話 もう一人のテレポーター

今日、あの花が抱く。


「オリビア、今までよく頑張ってきたね魔法をかけよう。ママの顔覚えている?」


「うん!」


「それじゃあ、しっかり思い出して。ママの所に帰りたいと願って。今度、目が覚めたらママが待ってるよ。僕の事は内緒だよ。この世界の悪い魔法使いから、君のような人を守らないといけないからね」


「ようじ!」

 オリビアに初めて抱き着かれた。


「オリビアはいい子だね。これからもきっと大丈夫。何があっても君の味方は必ずいるから、諦めないで」


 オリビアは帰って行った。




※    ※    ※




「ニューヨークに行く」


 また、グレンの突然の報告だけれど慣れた。アップルパイは持って行きたい!カフェに行く、アップルパイと情報をもらい帰る。ミアから荷物を渡された。ミアは指を鳴らすニューヨークに来た。セントラルパークだ。懐かしい気持ちになる、初めて来訪者を帰した場所だ。


エレンがマンションにやって来た。


「ようじぃー!会いたかったー!」


 エレンが新しい情報をくれる。どうやら、シェルターを持たない来訪者がいるようだ。どうも、その人物は瞬間移動を使うらしいその力を使って物を取って行くようだ。


「気が付いたら物が無くなっているの。確かに物取りは多いけど‥‥‥ここ最近特に被害が多くて困っているのよ」


 ん~……捕まったら大変だ。早く見つけてあげないと……? さっきからエレンが今日はやたらと髪に触ってくる。


「ああーやっぱり素敵だわ~。その来訪者が見つかるまで毎日来てもいいかしら? ちゃんと情報は持ってくるし協力もするわ」


 そんな笑顔見せられたら、いいよって言うしかないじゃないか。二人の顔を見る。グレンもミアも同じらしい。


……ほんとに毎日やって来た。


 毎日僕の髪で遊んでいく。ポニーテール、ツインテール、三つ編み、編み込み……


普段は1つにまとめているが伸びたよなあ。これじゃあ女の子だ。溜め息をつく。


「やっぱり! このまま何もしない方が素敵だわ!」


今日はこれで帰るのか? と思ったら。


「出たわよ! 最近この辺りに多いわ」

 と、地図を出して話す。近くじゃないか!


「だから、お取り作戦よ。この子何故か高価な物はあまり取って行かないの、食料品なんかが多くてきっと食べる物が無いのかも」


 エレンの作戦に乗った。


 ミアが買い物をする。きっとお腹を空かせているだろう。調理済みの食糧を沢山抱える。ベンチに座るその時、人影が見えた‥‥‥物が無くなっている。ミアがその後を追いかける。


今取って来た食べ物にがっついて食べ始める。そこにミアが現れた。


「なんで! ここにいるんだ!」


 追いかけて来たミアの姿を見て驚く。そして、逃げようとするその人物にミアは声を掛ける。


「お願い逃げないで!私もあなたと同じよ。何もしないわ」


 そこには、帽子を被った少年がいた。


「なんだそうかよ。その恰好は変装か?」


「いいえ。この姿は変えていない」


「俺を捕まえて。どうする」


「帰りましょう。元いた世界に」


 ミアは少年に歩み寄ろうとする。しかし、少年は後退りをする。


「何を言ってる!そんな事出来る訳ないだろう? 帰りたくても……どうやって帰るんだ! 無理だ!」


「私達はもう何人も帰していますよ。何人も見送った」


「……」


ぐ~っとお腹が鳴いた。


「お腹が空いているのね、それ、食べていいのよ。あなたの為に買ったのだから」


それを聞いてむしゃむしゃと再び食べ始める。食べ終わると少年は口を拭きながら


「で? 俺はあんたと何処へ行けばいい」


「信じてくれるのね。ありがとう」

 笑顔でミアは言う。


「なんで、お礼を言われないといけないんだ?逆だろ?」


「それじゃあ、仲間の所に一緒に行きましょう」


ミアはその人物と一緒にマンションに帰って来た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る